フェムケアで確認する「感じる体、つながる心」

最終更新 2023.09.19 by WOMB LABO編集部

こんにちは。森田敦子です。

フェムケア、フェムテックというワードが取り上げられる機会が増えた、今。100年と続くかもしれない女性としての人生、心身ともに健やかであるために女性性と向き合うことはとても大切なこと。今回はトレンドで終わらせないために改めて伝えたい、膣周りのケアの本質についてのお話です。

“フェムケア”は、長く続く健康と幸せのスタート地点

健康にまつわる医療やサプリメントなどが充実する一方で、セックスレスや不妊で悩む人が多い現代。情報過多やストレスなど、便利さと引き換えに人間本来の健やかさが失われつつあるように思います。男女ともに「そもそも性欲が湧かない」という人も増加。食欲、睡眠欲、性欲は人間の3大欲求です。性欲が湧かない=生きるエネルギーの枯渇。本当のウェルネスは、3つの欲求がバランスよく満たされてこそ得られます。お腹が空いたら食べる、眠くなったら寝ると同様に、自然と沸いた性欲を満たしてあげる状態が理想。センシュアリティやセクシャリティをおざなりにせず、きちんと向き合う。それは長く続く健康と幸せの礎。そのスタート地点にあるのが、膣周りのケア=フェムケアです。

演技と遠慮のあるセックス、していませんか?

フェムケアにおいて、改めてフォーカスしたいのは“感じること”。女性の体は触れて、感じて、脳内から女性ホルモンが分泌され、粘液によって膣が潤います。女性性の仕組みを知ることは、性交痛や不妊、更年期などの問題解決の根本にもつながるもの。「自分がどうしたら感じるか」を知ることは、パートナーとの関係性を築くうえでとても重要です。

とあるリサーチによると、セックスにおいてフェイク(感じているふり)をしていると答えた女性は9割以上。雰囲気を壊したくない、相手を傷つけたくないという思いやりの気持ちも影響しているのでしょうが、お互いに“感じるところ”を理解していないのも原因ではないかと思います。正解が分からずの遠慮と演技のあるセックスでは感じることも、喜びを知ることもできません。セクシャリティのゴールは、オーガズムを得て、心身とも心地よくなること。相手の快楽を知らない一方通行のセックスは、いつしかペニスを挿入して射精することが目的となってしまい、義務やストレスになってしまったりする。

感じることに、前向きに。心もつながるパートナーシップの秘訣

求め合う回数が減っても男性の睾丸では休むことなく精子が作られ、女性は触れられて、感じることで愛を覚えます。恋愛の多幸感が得られるドーパミンの効果は、約3年。性欲が自然な欲求であるのなら、パートナーで満たされなければ、気持ちが離れてしまうのもある意味仕方がないのかも知れません。浮気や不倫、離婚の理由も、突き詰めていくとセックスに問題を抱えていることがほとんど。家族や友人関係、仕事のことは話せるのにセクシャリティに関してだけダンマリとは、よく考えるとおかしな関係ですよね。私にとっては本来の自分を無視して、情だけで繋がる関係も不誠実。相互理解はパートナーシップの根本です。男性は女性の体に無知。「私はここを触れられると感じるけれど、あなたはどうして欲しい?」と、ユーモアを交えて伝え合える間柄であったら、セックスは遠慮も演技もない、もっと有意義で愛に溢れたものになるのではないでしょうか。感じることに正直で、前向き。それは自分だけでなく、大切な人を慈しむことでもある。セクシャリティに限らず、大事にしたいことですね。

次回は、女性性を語るうえで欠かせない産前・産後ケアについてお話ししたいと思います。

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著者プロフィール

森田敦子

森田敦子

日本におけるフィトテラピー、フェムケアの第一人者。
株式会社サンルイ・インターナッショナル代表。
パリ13大学で植物薬理学・性科学を学び、帰国後は植物療法による知見を活かし介護や産前産後の現場で尽力。フェムテックの先駆けとなるフェムケアの啓蒙活動も行う。2013年デリケートゾーンケアブランド「アンティーム オーガニック」処方・開発、「ルボア フィトテラピースクール」主宰。2020年、トータルライフケアブランド「Waphyto」創設。私生活でも42歳で自然妊娠・出産。「潤うからだ」ほか著書多数。

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