第4回 クリトリスの正体は〜女性のオーガズムについて①
Bonsoir (こんばんは)、クロードです。
今夜はいかがお過ごしでしょうか?
さて、今回はセクソロジー(性科学)から見た女性のオーガズムについてお話していきたいと思います。
女性のオーガスムと一言でいっても、実はとても複雑です。というのも人によって感じ方が違うため、「これが女性のオーガズムというものである」と定義するのは、とても困難なことなのです。
男性は女性のオーガズムについて”知ったつもり”になっていますが、「本当によく理解している」と思われる男性であったとしても、「オーガズム」という言葉のひびきに酔いしれているだけで、ちゃんと理解している男性はほとんどいないといっても過言ではないでしょう。
というのも、「オーガズムを感じる」場所と言われていたクリトリスの完全な解剖学的構造が、ここ数年で明らかになったばかりだからです。
発見したのは、女性研究者であるオディール・フィヨ。2016年にクリトリスの形を3Dプリンターによって再現することに成功しました。インターネットの普及によって、クリトリスの正しい構造も解明することができたわけです。
外陰部(がいいんぶ*1)は自分でも鏡などを使って見ることができ、さらに触ることができますが、実際には、どの部分も薄い皮膚で覆われています。そして、その先端部に突き出た部分、これがクリトリス(陰核亀頭)と呼ばれている部位です。しかしながら、実際のクリトリスの大きさに比べると、クリトリスと呼ばれている部分は、ごくごく一部でしかないということが今回の発見からわかりました。
*1 外陰部とは、男女の生殖器で外部に現われている部分のことを指します。女性の場合は、恥丘、大陰唇、小陰唇、陰核、腟前庭などからなります。
クリトリスの全体構造を見ると、腟の内側に向けて、2つの枝に分かれながら大きく伸びています。その2つの枝に分かれている部分を「陰核脚(いんかくきゃく)」と呼び、最大でその部分が12〜15 cmもあります。そしてその内側に同じく2つの枝に分かれた「陰核球(いんかくきゅう)」と呼ばれる部分があります。クリトリスの中で陰核亀頭と陰核球はペニスの海綿体と似た組織をもち、男性器と同じように勃起します。
この正しい解剖学的なクリトリスの仕組みがわかったことで、腟内(いわゆるGスポット)で感じる女性とクリトリスで感じる女性がいるという考えは間違った先入観だったということが明白になりました。
実際には、たとえ腟内で感じたとしても、それは膣内の振動をクリトリスが受けることによって、オーガズムを感じていたということだったのです。
今日は解剖学的にクリトリスを説明したので、部位の名前がわかりにくく、少し難しかったかもしれませんね。
今夜はこの辺で。またお会いしましょう。
Bonne nuit(おやすみなさい)
著者プロフィール
Dr. Claude Esturgie
クロード=エステュールジー
医師・医学博士
パリ臨床セクソロジー性医学 セクソローグ(性医学者)
性医学科学アカデミー会長 (2005-2016)
パリ臨床セクソロジー(性医学)仏医学会副会長
セクソアナラジス(性分析)国際研究所(モントリオールケベック州)名誉会員
同研究所にてストーラー賞受賞