もくじ
第7回 不感症と悩まないで
〜男性器の勃起不全(ED)について
パートナー(男性)の身体も理解しましょう〜
Bonsoir (こんばんは)、クロードです。
今夜はいかがお過ごしでしょうか?
前回までは女性のオーガズムについてお話ししました。
ご自身(女性)の身体の仕組み、つまり、オーガズムのメカニズムを知ることで、不感症で悩んでいる女性が少しでも気持ちが軽くなれば、という観点から解説しました。
今回から3回かけて、パートナー側である男性の身体の仕組みを知るためのお話しをしたいと思います。性科学の観点から男性の性器のことを知ることで、カップルのセックスレスのお悩みが少しでも解消できればと思っています。
日本でも、他国と同様に、女性の性生活に対する不満や、セックスレスになってしまう原因が、女性自身ではなく、男性側にあるというケースが多くみられるのではないでしょうか?
いわゆる性機能障害と呼ばれるもので、男性に起こるのは以下の2つが考えられます。
ひとつは勃起不全(ぼっきふぜん、ED)、もうひとつが早漏(そうろう、PE)です。
勃起不全(ED)とは?
勃起不全はEDと呼ばれることもあり、英語のErectile Dysfunction(エレクタイル ディスファンクション)の略です。勃起したり、その状態を維持したりすることが不可能なことを指します。
若い男性の場合、心理的・精神的な理由から勃起不全になることが多いようです。年齢を重ねると、さまざまな身体的な病気が原因で、勃起不全が起こる可能性が増えていきます。
ですが、あらゆる年齢において勃起不全になる場合は特に、心理的・精神的な理由がないか、考えてみる必要があります。
男性器は陰茎海綿体、尿道海綿体などからできています。男性器の内側にあるのが陰茎海綿体です。陰茎(ペニス)の上部に平行に並ぶ2つの伸縮性のある紡錘状の組織です。一方の尿道海綿体は、陰茎海綿体の下にあります。
勃起に関しては、ペニスの内側にある陰茎海綿体のみが関係しています。
勃起が起きるのは、その性質が何であれ性的興奮によるものですが、特別な感情、意識的・無意識的な抑圧、心理的な不安があると、勃起できなくなることもあります。
勃起不全の治療は不可能ではない
勃起不全の治療においては、1998年から 2000年にかけて革命が起きました。IPDE5 (タイプ 5 ホスホジエステラーゼ阻害剤) と呼ばれる種類の薬が発見されたからです。これらの薬は媚薬ではなく、興奮を引き起こす刺激がないため、自然と性欲がわくようになっています。いわゆる勃起の生理学的なプロセスを引き起こすだけです。
10~20 mgr を服用すると、1 時間以内に勃起が起こります。それらのうちの1つである「タダラフィル」を少量(5mgr)配合すると、毎日の定期的な使用が可能となります。
心血管系疾患に対しての制限はありませんが、トリニトリンとの同時摂取は禁忌、ぜったいに止めてください。さらにフランスとは違う日本独自のルールもあると思いますので、必ず医師に相談してから服用してください。
この治療は年齢を問わず、どのようなケースでも行うことができます。かつて行われていた、海綿体への注射や陰茎プロテーゼ(移植手術)は、今はあまり行なわれていません。
また、身体心理療法、性的分析、エリクソン催眠術、EMDR*、さらには精神分析など、様々なアプローチを使い、身体的な原因を特定し、治療することも可能です。
※EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法
少し難しい話になりましたが、勃起不全(ED)についての治療が、現在では不可能なものではないということを知っていただければと思います。
では、今夜はこの辺で。またお会いしましょう。
Bonne nuit(おやすみなさい)
著者プロフィール
Dr. Claude Esturgie
クロード=エステュールジー
医師・医学博士
パリ臨床セクソロジー性医学 セクソローグ(性医学者)
性医学科学アカデミー会長 (2005-2016)
パリ臨床セクソロジー(性医学)仏医学会副会長
セクソアナラジス(性分析)国際研究所(モントリオールケベック州)名誉会員
同研究所にてストーラー賞受賞