森田敦子が考えるフェムテック 最終回

最終更新 2023.04.13 by WOMB LABO編集部

森田敦子が考えるフェムテック
最終回 フェムテックとクリニック〜マイ産婦人科を持とう〜

こんにちは、森田敦子です。

今回は「フェムテック」と「クリニック」について。第5回の最後でも少しご紹介した、「マイ産婦人科」についてです。

これまで、セルフプレジャートイや吸水パンツなど「フェムテック」ジャンルの商品やサービスを使って女性特有の課題を解決できることを、この連載を通してお伝えしてきました。

ですが、女性の身体は機械ではありません。それゆえ、いざとなったら相談できる「マイ産婦人科」を持っておくことを、20年以上も前からわたしは唱えてきました。

出産を終えている女性や更年期前後の女性であれば「婦人科」に強い先生を探しておくのはいかがでしょうか?膣まわりの不快感から、更年期にまつわる「ホットフラッシュ」「めまい」「尿モレ」などの症状まで相談することができます。

尿モレなどは、この問題に特化した「女性泌尿器科」もあるので、ぜひ知っておいてください。また、女性特有の疾病の相談や検査をしてもらうことができます。最近は膣のアンチエイジングとして知られる「膣レーザー治療」を取り入れているところもあります。ぜひ調べてみてください。

日本の女性は、妊娠・出産となったときに初めて産婦人科を訪れるという人も多いようです。しかし、できれば初潮を迎えた思春期から産婦人科には定期的に通ってほしいと考えています。若いうちから女性の性や生理に関する正しい知識を得ることができます。

健康維持、体調管理の一環としてもおすすめします。なんでも相談できるようになれば、体の異変に気づいたときに受診でき、女性特有の病気の早期発見や早期治療にもなると思います。

大切なのは医師との信頼関係

私が敬愛しているフランスのフィトテラピー(植物療法)の権威であるベランジェール・アルナール先生は、これまで臨床の現場で婦人科医として多くの患者さんに接してきました。アルナール先生の専門は乳がん、子宮がん、子宮頸がんなど。ですが、セクソロジー(性科学)における悩みで来られる女性たちもとても多いと聞きます。

患者さんのセクシュアリティ(性)について聞く時は、必ずご自分のセクシュアリティについてのお話もされるそうです。そうするとお互いに信頼関係が気づけるため、なんでも話せる存在になるそうです。

アルナール先生が扱っているのは「性行為のときに痛くてペニスが入らなくなってしまった」という女性、出産後にセックスレスになってしまったカップル、不感症になってしまった女性の事例など多岐にわたります。非常にデリケートな事情が多く、簡単に人に話せる内容でもない。だからこそ、「マイ産婦人科」がフランスでは頼りにされているのでしょう。

アルナール先生の話をもっと聞きたいという人は、”女性の「性」との付き合い方”というアルナール先生の連載をぜひご覧ください。

https://womblabo.com/web-journal/special-feature/dealing-with-female-sexuality/

日本にも頼もしい先生がいらっしゃいます。富永喜代先生です。愛媛県松山市で富永ペインクリニックを開業されていますが、これまで全国のべ23万5000人の痛みを治療されてきました。なんと、性交痛外来はオンライン診断も可能です。すでに5000人のセックスの悩みに答えてきた先生ですので、悩みをお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ富永先生にご相談されるといいと思います。

先生の「性のトリセツ」もおススメです。「更年期障害の治療法」「性機能の衰え」「どうしたら(妻、夫を)受け入れられるのか」「ちつの自宅でできるマッサージ法」「勃たない男と濡れない女、極上テクニック」「アウターセックスのすすめ」など、ドキッとするタイトルもありますが、とても勉強になります。

▼性のトリセツ

婦人科にある医療機器というフェムテック

「マイ産婦人科」を持っておくことで、一般機器であるフェムテックではない、”医療機器のフェムテック”を治療として取り入れることも可能です。

わたしがお世話になっている東峯ラウンジクリニックには、骨盤底筋を鍛える椅子型の「EMSELLA(エムセラ)」という機械があります。お尻を乗せるシートの部分から電磁波が出て、骨盤底筋を収縮させることで、自動的に筋トレができる機械です。服を脱ぐ必要もなく、座って約30分です。2〜3日おきに6回ほど行うことで、骨盤底筋が鍛えられるものですが、こうした医療機器は婦人科だからこそ受けられるものでもあります。

エムセラについて気になる方は、東峯ラウンジクリニック(https://www.toholoungeclinic.com/)でも施術可能ですので、お問合せしてみてください。

▼50歳からの婦人科―こころとからだのセルフケア

▼60歳からのセックスクリニック―婦人科医がつたえる、こころとからだのアドバイス

松峯先生とも対談をさせていただいていますので、ご興味ある方は以下の記事をご覧ください。

https://womblabo.com/web-journal/special-feature/about-femtech/

女性の体の内側にあるホメオスタシスは、奇跡のような仕組みで女性の体を私たちが寝ているときも食べているときも働いています。それを理解・勉強し、丁寧に自分の体をケアしてほしいと思っています。

ちょっとした不調時には、いわゆるフェムテック商品も使いこなしていただきたいですが、少しでも心配に感じる悩みがある時には、すぐにマイ婦人科の先生に頼りましょう。

こうした使い分けがこれからの時代はもっと大切になっていくとわたしは考えます。

まとめ

今回で「森田敦子が考えるフェムテック」のシリーズも最終回です。6回にわたり、わたしの考えるフェムテックの現状やフェムテックに関する女性の身体の悩みについてお話させていただきました。

・生理、更年期といった女性特有の症状がフェムテックで緩和されるかもしれない

・フェムテックで重要なのは「フェムケア」である

・プレジャートイも大事だが、腟(ちつ)に自分の指で触れることも大事

・生理痛や性交痛、体の異変などをすぐ相談できるように「マイ産婦人科」を持つ

もっと知りたいという方は、ぜひ以下の本を参考にしていただければ嬉しいです。

▼「潤うからだ」

▼「枯れないからだ」 

▼「感じるところ」

▼「相談しにくいちつとカラダの話」

日本では2019年ごろに「フェムテック」という言葉がよく言われるようになったおかげで、デリケートゾーンケアの認知度も上がり、わたしが20年以上お伝えしてきたことが改めて理解されたことを嬉しく思っています。

「フェムテック」という言葉を通して、みなさまが今一度自分の体やデリケートゾーンと向き合っていただき、健やかな毎日を過ごすためのケアを取り入れていただければ幸いです。

これまでお読みいただき、ありがとうございました。

著者プロフィール

森田敦子

森田敦子

日本におけるフィトテラピー、フェムケアの第一人者。
株式会社サンルイ・インターナッショナル代表。
パリ13大学で植物薬理学・性科学を学び、帰国後は植物療法による知見を活かし介護や産前産後の現場で尽力。フェムテックの先駆けとなるフェムケアの啓蒙活動も行う。2013年デリケートゾーンケアブランド「アンティーム オーガニック」処方・開発、「ルボア フィトテラピースクール」主宰。2020年、トータルライフケアブランド「Waphyto」創設。私生活でも42歳で自然妊娠・出産。「潤うからだ」ほか著書多数。

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