こんにちは。植物療法士、フェムケアセラピストの宮窪るなです。
皆さんは日ごろ、〈性〉に関する情報をどこから得ていますか?私は、セクソロジーやフェムケアに興味をもったことをきっかけに、書籍を手にする機会が格段に増えました。
なぜかというと、自分が今興味があることを改めて考え、それにそった意見や知識が書かれた本を、みずから選択し手にとるというアクションをとても大切に考えているからです。
今回は、これまで私が読んできた〈性〉を題材としたおすすめの書籍6選を紹介します!また、本を読むうえで気をつけていることも合わせてお伝えしますので、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
もくじ
セイシル
知ろう、話そう、性のモヤモヤ
10代のための性教育バイブル
まずは、性に関する書籍として絶対に外すことができない『セイシル』をご紹介します。
セイシルとは「知ろう、話そう、性のモヤモヤ」をスローガンにしたティーン向けの性教育webメディア。そこに掲載されている性の正しい知識や、寄せられた数々の質問や解答を、わかりやすくまとめて書籍化したものが通称“セイシル本”です。
気になるその内容は…射精や月経、性器の形やセックスについてはもちろん、体毛や体臭など、子どもと大人のはざまでゆれ動くティーネイジャーたちが抱きやすい悩みについても、細かく取り上げています。
モヤモヤを抱える10代たちへ優しく丁寧に性を教授してくれるのは、愛嬌たっぷり!な、セイシルオリジナルキャラのモヤパンやペニーたち。
「自分が10代のころ、もし実家の本棚にセイシル本がそっと置かれていたら…きっと穴が開くほど読んだだろうに!」と感心せざるをえない充実のラインナップとなっています。
2022年に初版発売となったセイシル本ですが、ネットリテラシーや性的同意についてもしっかりと重きをおいて説明されているので、現代を生きる子どもたち、そして彼らを見守る大人たちにとっても強い味方と言えるでしょう。
これぞまさに、一家に一冊置いておきたい性のバイブル間違いなし!
カップルのあいだでおこる暴力を〈デートDV〉といいますが、皆さんはこれに5種類の型があるのをご存知でしょうか?3つぐらいは聞いたことあるけど、あと2つはなんだっけ…?といった具合でしょうか。
正解は、身体的暴力・精神的暴力・経済的暴力・性的暴力・社会的暴力の5つです。
誰かに恋人との関係を相談されたとき、もしくはパートナーからなんらかの圧力をかけられたとき「それ、デートDVだよ」と知識をもって適切な判断ができる大人でありたいですよね。
セイシル本は、あくまでも10代向けの書籍ですが、相応しい性教育を受けぬまますごしてきた私たち大人にも役立つ情報が多いとさえ感じます。
個人的に大好きなコーナーは、セイシルユーザーから寄せられたお悩みに、医師、臨床心理士、助産師など、さまざまな立場の専門家が解答してくれるモヤモヤ相談室。ティーネイジャーたちは、体のことだけにとどまらず、心のことでも同じように悩んでいるのです。
「自分の体が嫌いです」
「死んだらリセットできますか?」
自分の周りにいる子どもたちから、こんな質問が飛んできたら…私ならどう感じ、彼らに何を話すだろう。そんなことも考えさせられる読みごたえたっぷりの一冊です。
セイシル本を開いて、“性を知る”きっかけに触れてみてはいかがでしょうか?
世界中の女子が読んだ!
からだと性の教科書
大学の医学部で同級生だったエレンとニナ。2人は性教育ボランティアの講師活動をきっかけに、性に関する健康情報ブログ《性器(Underlivet)》を開設します。
信頼できる医学情報をもとに、女性の素晴らしさを発信し続けたブログは大人気となり『世界中の女子が読んだ!からだと性の教科書』として書籍化されました。
ヨーロッパはどこか性に開かれたようなイメージがありますが、当書に目を通すとどこの国の女子たちも、私たち日本人と同じく性に迷いと不安を抱いている、と感じます。
彼女たちがブログに注いできたであろう熱量は、書籍になってももちろん健在。今は現役の医師であるエレンとニナですが、医学的なお堅い文章はいっさいなく、むしろウィットにとんでいて読みやすいのがおすすめポイントのひとつです。
あそこに入れるなんて 無理じゃない?
というフランクな見出しには「そうそう!初体験のときってこんな心境だった!」と思わずうなずいてしまったり。誰もがそうであったように、戸惑いながら性を体験してきた女子目線での語りが、グッと読者を引き込むでしょう。
さらに、永遠のミステリーである〈処女膜〉や〈潮吹き〉などについても医学的かつ明確に説明してくれているので、まるで謎解きをしていくかのごとく一気に読めてしまいます。
このコラムシリーズを書くときにも常に参考書としてそばに置いてある一冊なので、私にとってはまさに教科書のようなお気に入り書籍です。
射精道
武士(男性)の魂の象徴ともいえる刀(陰茎)は、正しく手入れをし、正しく使い、正しい道徳観・倫理観を常に備えることが必須 『射精道』より
『射精道』は、陰茎をもつ男性としてのありかたと、刀をふるう武士の教えには通ずるものがあると感じた泌尿器科医、今井伸先生による話題作。男性の性にフォーカスしたコラムvol.6でも少し紹介させていただきました。
武士の精神である〈義・勇・仁・礼〉と照らしあわせながら、思春期、青年期、妊活期、中高年期それぞれにおける射精の〈道〉を説いているユーモアさは唯一無二。それもそのはず、今井先生は武家の末裔としてのルーツを持つそうで、小さい頃から武家ならではの道徳感がそばにあったんだとか。そんな先生から…
セックスは「心・技・体」が伴うまで行うべからず
なんて助言をされたら、思わず背筋を伸ばして読み入ってしまいますよね!
また今井先生は、自他ともに認めるセルフプレジャー推進派だと宣言しています。自慰行為はあくまでも良きセックスのための自主練。たとえば、日頃の運動をおこたっている人が、いきなりマラソン大会に出場するなんて考えにくいですよね。
自分の体をよく知り適切なセルフプレジャーを積むことが、相手を思いやるセックスへの一歩になるだけでなく、早漏や遅漏、EDの改善へとつながっていくのです。
刀とかけて陰茎と解く。その心は、手入れを怠ればなまくらに、使い方を誤れば簡単に人を傷つける凶器となってしまうでしょう。
男性へ自信を持っておすすめしたい書籍であるのは間違いないのですが、男性パートナーの心と体を知るためにも、ぜひ女性にも手に取って欲しい一冊です!新書ですので、するりと読めますよ。
女の子のからだえほん
男の子のからだえほん
『女の子のからだえほん』『男の子のからだえほん』は、ユネスコ認定、国際基準の性教育えほんです。作者は、2人の女の子の母親マティルドと、3人の女の子の母親であり助産師のティフェーヌ。
第一印象でパッと目を引く表紙のカラフルなイラストは、日本の絵本にはない美しさとセンス。
しかし、絵本だからといって、あなどってはいけませんよ。目次には、月経や射精だけでなく、性器のこまかい名称がずらりと並んでいます。
私がこの本をおすすめする理由のひとつは『女の子のからだえほん』の見開き2ページをまるまる使い、〈クリトリス〉について、イラストとともにその役割を優しく説明しているからです。そのページには…
人間のからだのなかでただひとつ、快感を感じるためだけにある器官です。
と書かれています。
クリトリス(陰核)に対する認識やとらえ方は国によってさまざまです。今の時代でさえ、割礼をおこなう地域は存在しますし、日本人の女性でも「快感を得るためだけにあるだなんて、信じられない!」とおっしゃる方もいます。
女性の人生は、痛みの連続。だからこそ、小さいうちから自分の体をよく知り、そして「気持ちいいって感じていいんだよ」と教えられることに意義があると信じています。少なくともそれを伝えてくれる絵本や大人の存在は、私が子どもの時にはありませんでした。
対象年齢は6歳から大人まで。全ての漢字にルビがふってあるので、ひらがなが読めるお子さまと一緒になって読んでみるのもいいですね。子どもよりも大人のほうが学ぶ内容が多いかもしれませんよ。
フロー・セックス
中医学に学ぶ安らぎと幸福の性愛術
皆さんは、“気の合う相手”とセックスしていますか?
コラムvol.5 では、東洋医学をもとに性をひもといていきました。その際にも取り上げた『フロー・セックス』は、“セックスとはこうあるべきだ!”の概念をガラッと変えてくれるでしょう。
中国の伝統的な性医学である〈房中術〉によると、セックスとは相手の気と自分の気を交わす行為。さらに細かく言うと、セックスには2種類あり、ひとつは〈瀉のセックス〉もうひとつは〈補のセックス〉です。
瀉と補って、なんだか漢方薬みたいで興味深いですね!
瀉のセックスは、ただただ欲を晴らすためだけの行為、もしくはゴール(射精やオーガズム)や目的(子作り)に向かって突き進んでいくものであるのに対し、補のセックスにはゴールがなく、触れあいを大切にするもの。お互いの思いやりや信頼感があってこそ生まれる、心地よく幸せな交わりといえます。
どちらが良い悪いというわけではありませんが、セックスは、パートナーとコミュニケーションを取りあいながら選択肢を持って柔軟に楽しめると良いですよね。
また、パートナー同士でおこなうマッサージや気の訓練法、より深く繋がりあうための体位などが真面目に説明されており、いつもとは違った角度からセックスをとらえることができます。そのため、セックスレスやマンネリに悩むカップルにもおすすめの一冊です。
もう一人、誰かを好きになったとき
ポリアモリーのリアル
最後に紹介するのは、性に特化した書籍ではないのですが、あらゆる角度から性愛を感じ、そのあやふやさを味わうことができる一冊です。
『もう一人、誰かを好きになったとき ポリアモリーのリアル』は、ポリーとして生きる人たちのリアルを調査するために対話や取材をかさねてきた、評論家でラジオパーソナリティ、荻上チキさんによるルポルタージュ。
私はこれまで〈オープン・マリッジ〉や〈オープン・リレーションシップ〉といった関係様式には馴染みがあったのですが、この本と出会うまで〈ポリアモリー〉を知りませんでした。
〈ポリアモリー(polyamory)〉とは、ポリ(複数)+アムール(愛)、いわゆる〈複数愛〉のこと。そして〈ポリー〉とは、恋人やパートナーをたったひとりに定めるのではなく「A君も好きだけど同じくらいB君も好き。私にとってはどちらもかけがえのない人。」のような複数での関係性に心地よさを感じる人たちを指します。
想像がつくとおり、一対一での恋愛が“普通”で、重婚が認められない今の日本社会のなかで彼らはマイノリティです。好色だと誤解され、だらしがない人だと咎められる…。実際に多くのポリーたちがバッシングをうけた経験を語っています。
しかし正確には、ポリー全員が“性に見境のない人”とは言い切れないのにもかかわらず、彼らがたびたび非難のマトになってしまうのは「マジョリティー=正解」の方程式がなりたつ世の中だから。
本に登場する多くのポリーたちは、性や愛、セックスや家族のありかたについて試行錯誤と葛藤を繰り返し、仲間と一緒に輪になり対話を重ねています。もしかするとそれは、少数派を生きる彼らだから、なのかもしれません。
私たちはよく「それって愛がないよね」とか「家族のくせに」などと簡単に口にしますが、愛や家族についてよく考えもしないまま、ある種の絶対的な正義としてそのパワーワードを振りかざすのです。
そもそも愛は目に見えないものなのに、なぜ、自分にとっての愛と相手にとっての愛が、同じものだと言えるのでしょう。
愛も、性も、恋も、家族も、人によってとらえ方やカタチはちがっていいんじゃない?
ポリーたちのリアルな生き様を垣間みるていると、愛や性がいかにあやふやで流動的なものかを思い知らされます。
だからこそ、私たちは誰かを自分勝手な枠にはめて判断することはできないし、同じように自分自身のことを誰かに決めさせる必要もないのです。
聞きなれない言葉がたくさん出てくるので私も初めは戸惑いましたが、新たな視点をくれたこの本の存在に、今ではとても感謝しています。興味のある方はぜひ手に取ってみてくださいね。
さいごに
今回は、これまで私が読んできた〈性〉を題材としたおすすめの書籍6選を紹介させていただきました。
性はあらゆる側面をもつもので、時代や人の変化とともにしなやかに学んでいく必要があると感じます。私は、今後もできるだけたくさんの書籍を読んでいくつもりですが、いつも忘れないよう心掛けているのは、本に書かれてある内容がすべてではないということです。
私たちは迷いや不安を抱えたとき、どうしても、すぐに答えが欲しくなります。「もしかするとこの本に正解が書かれてあるかも!」と思うこともあるでしょう。
ですが本のなかにあるのは、きっかけや気づきであり、あなたへの正解はありません。なぜなら、あなたの人生を知っているのは本の著者ではなく、あなた(自分)自身だからです。
だからこそ、自分が今興味があることを改めて考え、それにそった意見や知識が書かれた本をみずから選択する。けれど本に書かれてあるものを鵜呑みにするのではなく、いいとこ取りをして自分の暮らしや人生に当てはめてみる。
最後に決めるのは、いつも自分でありたいですよね。
このコラムも、誰かのきっかけになることを願っています。そして読者のみなさんのお気に入り書籍なども、いつか知る機会があれば嬉しいです。
著者プロフィール
宮窪るな(みやくぼ るな)
植物療法士/フェムケアセラピスト
離婚をきっかけに体調を崩し、月経前不快気分障害(PMDD)や月経困難症に悩まされるようになる。できるだけ自然のちからで心身に向き合いたいという信念から、植物療法専門校「ルボアフィトテラピースクール」の門をたたき、AMPP(仏植物療法普及医学協会)の認定資格を取得。学びの中で、恩師である森田敦子先生が啓蒙活動を続ける〈性科学(セクソロジー)〉にも大きく心を動かされ、タイ・チェンマイ発祥のトリートメントである〈カルサイネイザン〉を学ぶ。現在、フェムケアサロンの活動とともに、SNSで植物療法や性の本質を発信している。
Instagram:@phyto_note_luna