3歳からの性育
第3回 自分で教える自信がないというお母さん、お父さんへ

最終更新 2023.03.23 by WOMB LABO編集部

学んでいないからこそ本を読もう

以前伊勢丹新宿店でのイベントで、多くのお母さまから「自分で教える自信がない」との声を聴きました。でも、それは当たり前だと思います。自分の両親から教わってこなかったわけですから。あまり焦ることなく、それぞれのご家庭のペース、お母さまのペースを大事に、徐々に取り入れていってください。

お子様の絵本から学べることも多くあると思いますが、ぜひお父さん、お母さんにも性育の本を読んでいただきたいと思います。

「おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方」フクチマミ、村瀬幸浩(著)

どういう言葉や声をかけたらいいのか?という、身近にありそうな会話や悩みがまとまっています。自分で教える自信がないという親御さんには参考書にいかがでしょうか?とすすめるようにしています。なにより、夫婦で性育について語ることが第一歩だと思います。

まずは夫婦で性育について話そう

そもそもみなさんは夫婦で生理の話ができる関係でしょうか?子供に話す前に、先ほど紹介した「おうち性教育はじめます」という本を夫婦で読んでみて話し合うことから始めてみるのがいいと思います。

夫婦やパートナーと、付き合っているときから「今日は生理だから会いたくない」「お腹が痛いから寝かせて」とちゃんと伝えておくことは大切です。言ったほうが楽ですし、生理は別に恥ずかしいことではないです。夫婦でお互いの体の不調を隠さず伝えられるようになるといいですね。

そういえば、わたしが性育に詳しいのは、中学1年のときの担任の先生の影響があるかもしれません。バスケ部の顧問でもあった男の先生だったのですが、アメリカに留学しか経験とかもあって、「あのー、僕は男性で君たち思春期の真中で、言いづらいこともいっぱいあると思うけれど、生理の時の体を大切にした方がいい。激しい運動は、まあ辛いと思うから休みなさい。男の子のみんながいる前で、私、今日生理ですっていうの恥ずかしいんだったら“I have a period(生理です)”と英語で言えばいいから」と、理解のある先生でした。だから私自身も気軽に夫にも素直に伝えられるのかもしれませんね。

その先生はご自分のことを「歩く性教育」といってAIDS(レッドリボン)の活動をされていました。また、中2~3年になるとコンドームの付け方を男女ともに教えてくれました。理科の先生だったので、男性器と女性器の絵を描くことがテストに出たこともありましたね。いまから考えると進んだ先生でしたね。

最近は、PTAで性教育の活動をすることが増えてきたと思います。親は自分の親から教えてもらえなかったので、どう伝えるかがわからない。ですが、そういった情報を発信しているところが少ないのが現状で、性教育の本の著者の講演会とか、自主的にセミナーを開催するとかしかないのが現状です。そういう意味で、WOMB LABOはその一助になるべく、正しい性育情報が得られる「場」になれたらと考えています。

性育は学校で教えるものなのか?

わたしが中学生の時に理科の先生からコンドームの付け方を学んだ話をしましたが、実際学校で教えているところは少ないと思います。

うちの娘も小学校の保健体育の授業で体の仕組みについては一通り教えてもらっているようですが、日常生活でのケアについては教えてもらっていないように思います。

例えば、ナプキンはどこに捨てるか知ってる?と聞いても「たぶんここかなって感じで捨てた」という回答です。カリキュラム上、体の仕組みは4年生以降に学ぶと思いますが、ナプキンの捨て方一つとっても、親はもっと子供たちに寄り添って家で伝える必要があるのかなと思っています。

そういう意味で、性育は何も学校だけが教えるものではありません。親世代が家庭でこそ教えるものであって、親の役割も大きいと子供を育てながら実感がします。もし子供が親からも聞けないなら、一体どこで聞いたらいいのでしょうか?そうならないためにも、ぜひご家庭で話せるような環境を作っていただきたいと思います。家庭内で話すことをタブーとしてしまうと、学校でも家でも子供は話す場がなくなり、正しい情報を得ることができなくなります。

国連の性教育の指針が改定された背景は「性」ということに注目が集まっているからです。一つはSDGsの浸透によるジェンダーに関する意識と共に、自分を大切にすることの重要性が高まっていること。そして、残念なことですが、性犯罪が低年齢化していること。これは直視しなければならない問題です。

親が子供に四六時中ついているのは不可能です。だからこそ、子供には性育を通してプライベートゾーンを理解してもらい、もし知らない他人に触られるようなことがあったら、子供自身がおかしい、ノーと言えるようになってほしいと思います。

岡本佳央理

岡本佳央理

フェムテック・ウェルネスメディア「WOMB LABO(ウームラボ)」ディレクター。
2012年より株式会社サンルイ・インターナッショナルで植物療法士・森田敦子と共にデリケートゾーンケア&パーツケアブランド「アンティーム オーガニック」の開発に長年携わる。
プライベートでは3児の母。自身の出産と育児を通じ、子供世代にも伝わるフェムケア・性教育の啓蒙を行う。
Instagram: @kaori_womblabo
https://www.instagram.com/kaori_womblabo/

contact

フォームよりお気軽にお問い合わせください。

営業時間/12:00-18:00 定休日/火曜日