最終更新 2021.10.15 by WOMB LABO編集部
こんにちは、WOMBLABO編集部です。今回は「腟トレのやり方」についてご紹介します。 腟の緩みが気になる方だけではなく、更年期、産後、妊活中の女性にとっても大切な役割を果たしてくれる腟トレについて詳しくみていきましょう。
もくじ
腟トレってなに?
腟トレとは、腟まわりの筋肉である「骨盤底筋」を鍛えるトレーニングです。 骨盤底筋は、骨盤のインナーマッスルと呼ばれていて、子宮や膀胱、直腸などを支えているとても重要な筋肉になります。他の筋肉と同様に、生活習慣や加齢によって衰えていきます。骨盤底筋を鍛えておくことは、妊娠や出産を安全に乗り切るための”腟力”を上げるだけではなく、頻尿や尿漏れ、子宮脱という病気を予防するにも役立ちます。
そのほか、腟トレの効果や注意点、おすすめアイテム4選などについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください
腟トレが必要になる理由は?現代病?
現代人はトイレが和式から洋式に変わったこともあり、骨盤底筋をあまり使わない傾向にあります。ナプキンやタンポンがない時代には、経血が流れ出ないように腟に力を入れて締め付けるのが当たり前でしたので、自然と骨盤底筋が発達していました。 ナプキンやタンポンなど便利な生理用品が次々と登場する一方で、骨盤底筋に頼ることがなくなり、自ずと筋力が落ちてしまうことで、様々な問題が生じやすくなっているのです。
腟トレは更年期の人におすすめ?病気を予防
閉経を迎えた多くの更年期女性が密かに悩んでいるのが、腟まわりの乾燥や老化、骨盤底筋の衰えなどによる「尿失禁」や「子宮脱」という病気です。
尿失禁
尿失禁とは、自分の意志とは関係なく尿が漏れてしまうことをいいます。 主な原因として、骨盤底筋の緩み、出産、閉経による女性ホルモンの低下が挙げられています。 なかなか話題にはなりませんが、40歳以上の女性の4割が経験しており、悩んでいる女性が大変多い病気です。
出典元:一般社団法人日本泌尿器科学会
子宮脱(骨盤臓器脱)
子宮脱は、中高年の女性にとって特に気を付けたい病気のひとつです。子宮、膀胱、直腸などの臓器が飛び出してしまう病気のことです。症状は様々で、頻尿、残尿、尿漏れ、便秘、残便感などが多いとされています。 病気が進行すると、椅子に座ったときに腟に何か当たる感じがする、股に何か挟まっている感じがするという状態になり、強い痛みや不快感に悩まされるだけではなく、入院して手術する必要もでてきます。 一般的には、子宮脱の主な原因は「経腟分娩(自然分娩)」と考えられていますが、それだけではありません。産後のケアを十分に行わなかったこと、肥満、慢性的な便秘、重労働の積み重ね、座りっぱなしにより骨盤底筋の老化、腟まわりの乾燥などが影響しています。
腟トレは産後や妊活中の女性にもおすすめ
産後や妊活中の女性にも腟トレはおすすめです。骨盤底筋は、お腹にいる赤ちゃんをしっかりと支え、出産時に赤ちゃんを外に押し出す力となるからです。 出産時に骨盤底筋がとても大きなダメージを受けることで、産後すぐに排尿トラブルを感じる女性も少なくはありません。 数か月でもとの形に修復されますが、ダメージを最小限に抑え、お産を安全に行うためにも骨盤底筋を鍛えておくことは大切です。
腟トレのやり方とは?
ここでは、腟トレに必要なウォーミングアップから実際のトレーニングのやり方をご紹介していきたいと思います。腟トレのやり方はさまざまですので、自身の体調やライフスタイルに合わせて試してみてください。
仙骨を温める
トレーニング前の準備として「仙骨を温める」ことも大切です。膣まわりの筋肉を和らげる効果があります。 仙骨とは腰の中央部にあり、背骨の一番下にある三角形をした骨のことです。身体の中心部に位置する土台であり、身体の中でも最も効果的に副交感神経を刺激できる場所としても知られています。 仙骨を温める方法は、シャワーでお湯を30秒ほど仙骨に当てれば完了です。シャワーを浴びれない時は、蒸しタオルやカイロを使うのもいいでしょう。 継続すればするほど効果が出やすいので、是非やってみてください。
ペットボトル法を使った腟トレ
ペットボトルを使った腟トレ方法について紹介していきます。
①椅子に座り、中身が入った500mlペットボトルを太ももの付け根の方で挟みます
②脚をそろえて、膝同士をくっつけるように意識しましょう
③呼吸に合わせて、吸うときは力をゆるめ、吐くときに力をいれてお尻の穴を締めるようにしましょう
寝ながらできる腟トレ
次に寝ながらできる腟トレについて紹介していきます。
①仰向けの姿勢になり、両ひざを曲げて立てます
②足を肩幅に開き、体をリラックスさせます
③息を吐きながら、脚が付く位置をお尻に寄せて持ち上げます
④膝から胸までが一直線になったところで10秒キープ
⑤キープ後、10秒間力を抜いてリラックスさせます
座りながらできる腟トレ
フェイスタオルを使った腟トレについて紹介していきます。
①縦半分に折ったフェイスタオルをくるくると巻き、棒状にしたものを椅子に縦に置きます
②タオルを膣まわりで挟むようにして座ります
③息を吐きながら腟をおへそに向かって引きあげます。挟んでいるタオルを軽く持ち上げるようなイメージです。
④そして、息を吐きながら元に戻します
フェイスタオルを挟んでいると、腟に意識が向きやすくなるので慣れるまではタオルを使って練習してみてください。
立ちながらできる腟トレ
立ちながらできる腟トレについて紹介していきます。好きなタイミングでいつでもどこでもトレーニングができます。
①仁王立ちのようにしっかりと立ちましょう
②腟に意識を向けて、息を吐きながら膣をおへそに向かって引き上げて締めていきます
③3秒キープしたら、息を吐きながら元に戻していきます
また、かかとの上げ下げ運動も効果的です。ふくらはぎやお尻を引き締めるためによく行うトレーニングですが、腟まわりの筋肉を鍛えるのにも役立ちます。「2秒上げて、2秒下げる」を15~20回ほど繰り返して、身体がホカホカしてくるまで行いましょう。
出典元:森田敦子(2019)「感じるところ」幻冬舎
腟トレウォーキング
腟トレウォーキングとは、骨盤を意識して正しい姿勢でウォーキングすることです。 骨盤のゆがみが解消することで、自然と骨盤まわりのインナーマッスルを鍛えられます。 以下のポイントを意識してウォーキングしてみましょう。
・背筋はまっすぐ伸ばし、胸を広げる
・膝は曲げない
・骨盤から足を動かすイメージで行う
・かかとから地面に足を付ける
腟トレの感覚がつかみにくい方は、腟トレグッズを使ってトレーニングしてみてもいいでしょう。おすすめの商品は「エルビー」で、スマホと連動して自分の腟圧をリアルタイムで測定してくれます。視覚的にも効果を見ることができるので、トレーニングも捗ることでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は腟トレのやり方を中心に、中高年、産後、妊活中の女性におすすめする理由をご紹介しました。骨盤底筋に限らず、身体の筋肉を鍛えることは自身の健康にいい影響をもたらしてくれます。ぜひ積極的にトレーニングをしてみてください。
監修プロフィール
松峯 寿美(まつみね ひさみ)先生
医師・医学博士。日本産婦人科学会専門医。東京・木場にある東峯婦人クリニック理事長。とくに不妊治療、思春期・更年期医療に力を注ぎ、女性専門外来の先駆けとなる。また、日本にまだ数少ない産前産後ケアセンター・東峯サライを開設。
著書に「50歳からの婦人科」や「60歳からのセックスクリニック」等、様々なライフステージの女性たちの体の悩みに関する講演等でご活躍。