産後のからだの変化と性欲
今回は産後の女性のお悩みを元に、お話したいと思います。
出産後性欲がなくなり、パートナーとセックスレスになってしまったというお悩みがよく寄せられます。
妊娠中にずっと分泌されていたプロゲステロンとエストロゲンは卵巣以外にも胎盤からも分泌されていて、出産後に胎盤も排出するため一気に女性ホルモンの分泌が減ってしまいます。このホルモンの急降下によりバランスを崩すことで、産後うつの原因の一つと言われていますが、出産後しばらくは女性ホルモンの分泌が少ないことで、性欲がわかないという現象に。また粘液も出にくくなるので濡れなくて痛いということもあります。
またもう一つこの時期の性欲に関係するホルモンがあります。
母乳を分泌するためのオキシトシンというホルモンは母と子の愛着を形成する愛情ホルモンと呼ばれるもので、母性を高めてストレスを軽減させることができると分かってきています。
が、その一方でオキシトシンで強くなった母子の絆があるがために、敵から子供を守るという意識も働き警戒心が強くなります。その敵というのは、様々なものが対象になり得るのですが、パートナーがその分類に入ってしまうことも。
そうなってしまうと、「夫を夫として見られなくなった」「夫に触られるのが嫌だ」「なんだか夫の言動がイライラする」といった声になります。
この出産後から幼児期の間の家事育児に積極的に参加したパートナーと積極的に参加しなかったパートナーとでは愛情が回復するか低迷するかを表した東レ経営研究所の渥美由喜さんの愛情曲線という図があるのですが、経験上まさに!と思います。パートナーが積極的に参加した方が愛情が回復するので、セックスレスにならないポイントの一つになるかもしれませんね。
(参考)夫婦の愛情曲線の変遷
引用元:東京都生活文化局 都民生活部 東京ウィメンズプラザ
https://www.twp.metro.tokyo.lg.jp/Portals/0/jigyou/wlb/curve.html
そしてこのようなことを夫婦で理解して出産前から産後の性生活についてを話しておくことをおすすめしています。しっかり話しておくこともセックスレスを予防できる方法のもう1つでもあります。セックスは産後1か月の検診後にOKがでてから大丈夫なのですが、まだ2~3時間間隔で授乳をしている場合もあり疲労していたり、上記の理由で濡れにくいことが多いので潤滑剤を使ったり無理のない性コミュニケーションをとっていきましょう。挿入だけがセックスの目的ではないのでお互いが気持ち良く愛情を感じられるスキンシップから再開してみましょう。
もしパートナーとのセックスがまだ難しいと思ったときは、セルフプレジャーもおすすめです。ゆっくり自分のペースで感じるからだを取り戻してみたり、快感を感じるときに分泌されるβエンドルフィン効果でストレス解消にもなりますよ。
著者プロフィール
南上夕佳(なんじょう ゆか)
植物療法士 /ルボア フィトテラピースクール副代表
INTIME ORGANIQUE by lebois インストラクター。
ホルモンバランスを崩したことがきっかけで植物療法専門校「ルボア フィトテラピースクール」にてAMPP(仏植物療法普及医学協会)認定資格取得後、自身の体験を活かし「女性の幸せ」をベースに、老舗百貨店やスクールで数々のセミナーやカウンセリングを行う。
現在は日本における植物療法の第一人者・森田敦子を師事し啓蒙活動を行いながら、ルボア フィトテラピースクール副代表として講義および講師育成をおこなうと同時に、女性のパーツケアブランド「アンティーム オーガニック by ルボア」のインストラクターも務める。
著書に『自然ぐすり生活』(ワニブックス)がある。現在2児の母。
Instagram:@yuka_nanjo