最終更新 2022.10.12 by WOMB LABO編集部
Salut(こんにちは)!
みなさん、ベランジェール・アルナールです。
前回は実際にどのように診断を進めていくのかについてお話していきました。産婦人科にいく際に心配な、腟周りの診断についても詳しくお話しましたので、産婦人科にいくハードルが少しでも下がればうれしいなと思っています。
さて、今月はピンクリボン月間でもあるので、今回は腟の次に検診する乳房について、お話していきたいと思います。
乳房の触診
腟の診断のときに脱いだ下半身の服を着てもらい、「今度は、私はあなたの胸を調べます」とお伝えします。
胸を見て、皮膚の異常、胸のしこり、または乳首からの分泌物がないかどうかを検査していきます。医師による触診は、乳房と乳房全体、および腋窩(えきか:わきの下のくぼんだところ)に及びます。
私はかつて、乳房から15〜20 cm上部に、無症状の原発性乳がんを発見したことがあります。 ゆえに、とにかく、どこにがんが隠れているかわからないので、とても注意深く確認しながら、慌てずに素手で触診していきます。 患者さまには、立った状態から横になることをお勧めしています。
実はすべての医師が触診に長けているわけではありません。ある患者さまは、ブラジャーの上から触診されたことがあるという経験を話してくれました。手袋をはめたまま触診されたと話してくれた患者さまもいます。両方の乳房に2~3回軽く触れただけで「問題ありません」と答えた医師もいたそうです。その患者さまはその診断のあとすぐに産婦人科を変えたと話してくれました。がん専門の教授が、乳がんの女性の乳房を“遠くから”見て「すべて大丈夫だ」と言ったという信じられない話も聞きます。
触診については見解が分かれます。わたしが丁寧な触診を妊婦に毎回行うことについて、先日ある講演で同僚に激しく非難されました。彼女はそれをナンセンスだというのです。ですが、同日の夜には、妊娠中または授乳中の女性こそ、触診が重要だということを語る会に参加することができました。
メラニー(31歳)の左胸は、乳首が完全に収縮しており、腫れているかもしれないという懸念をもっていました。彼女が医療関係者(介護者、医師、そして4人の助産師)に出会うたびにその懸念について語ってきたにもかかわらず、授乳のせいにされ、触診されることはありませんでした。
ところが子供の生後8ヶ月後、乳がんと骨転移の診断が下されました。その段階では彼女の乳房を取り除き、化学療法で対応するということしかできませんでした。
私が初めてメラニーを診断したのは2016年の終わりでした。私は彼女に、その経験を元に協会を設立することを提案しました。 メラニーは同じ経験をしたクリステルに出会い、「ジューヌ&ローズ」が始まりました。私はこの協会発足のきっかけになったことを誇りに思っています。
彼女らが制作した教育啓発映画に、素晴らしい才能を感じました。この映画を、特に助産師のみなさまに見ていただきたいと考えています。
乳房の自己触診、「知るために自分で触れる」
我々産婦人科医の使命のひとつは、若い女性に自己触診の重要性を訴え、更年期以降の女性に定期的に自己触診をするように伝えていくことです。ですが、自己触診をするのが怖いと感じる女性が多いのも事実です。
ですから、わたしはこんな風に伝えます。「異常を探すのが目的ではありません。自分の胸を触って知りましょう。そうすることで、異常があればすぐに気づくことができますよ」と。ぜひ日本の読者のみなさまも、自分の胸を知るために触ってみましょう。
ただ触るだけではなく、バストケアもできるような商品を森田敦子さんは開発されています。商品に込められたメッセージは自分の胸を慈しむこと。こんなアイテムを日々のケアに取り入れてみても良いかもしれないですね。
▼アンティーム オーガニック / ブレストケアクリーム 価格6,600円(税込)
それでは今日はこの辺にいたしましょう。
Au revoir(さようなら)
著者プロフィール
Dr. Berengere-Arnal
ベランジェール=アルナール
医師・医学博士
パリ第13大学医薬学部 元教授
婦人科専門医