最終更新 2021.09.16 by WOMB LABO編集部
こんにちは。WOMBLABO編集部です。ホットフラッシュと呼ばれる更年期女性特有の症状をご存じですか?今回は、ホットフラッシュに効く食べ物やハーブ、症状がでる期間、ツボなどについてご紹介します。
もくじ
ホットフラッシュとは?主な症状を解説
「ホットフラッシュ」とは、上半身ののぼせ、下半身の冷え、発汗、ほてり、動悸、微熱などが2~4分間持続して起こる、更年期の代表的な症状です。血圧変動はないまま脈拍が増加し、めまいや吐き気などの症状が伴うこともあります。自然閉経や卵巣摘出を受けた女性の6割が経験しているといわれています。
ホットフラッシュが起きるのはいつまで?期間は?
ホットフラッシュは、更年期の女性のお悩み症状のひとつで、40代後半から50前半の間に出始めることが多く、50代後半~60代前半ぐらいになると症状が落ち着くといわれています。
ホットフラッシュが起きる原因は?
ホットフラッシュは、ほかの更年期症状と同じく、閉経により女性ホルモンの分泌が急激に減少しホルモンバランスが崩れることで自律神経のみだれが生じ、血管の収縮と拡張のコントロールが正常に働かなくなることが原因です。 そのため、体温調節機能が異常を起こし、ホットフラッシュが起きます。
ホットフラッシュに効く食べ物とは
ここでは、ホットフラッシュやストレス緩和に効果的な食べ物について、その効能や摂取の仕方、目安について紹介します。
大豆
日本人おなじみの大豆は、「食べるエストロゲン」と呼ばれています。 大豆に含まれるイソフラボン成分がエストロゲンと似た作用で、ホットフラッシュや動悸を緩和します。豆まきに使うような乾燥大豆を1日に15~20粒くらいいただきましょう。
黒ごま
黒ゴマには、ポリフェノールの一種であるリグナンという成分が含まれています。大豆と同様に女性ホルモン様作用があるほか、ストレスに対抗するためのホルモンを分泌する作用もあります。 大豆と一緒に摂取するのがおすすめです。
ホットフラッシュにおすすめのハーブ
ここでは、ストレス、うつ、疲れなどに効果的なハーブやアロマについて、利用方法を中心ご紹介します。
セージ
セージは「健康」が語源の万能薬ハーブとして古代ローマ時代から親しまれてきました。 強い抗菌作用や強壮作用、また心を落ち着かせてくれる作用、女性ホルモン様作用などが主にあります。 風邪や熱の症状を緩和するハーブとして有名ですが、更年期特有の多汗やホットフラッシュの症状にも効果的で、発汗調整作用で症状を緩和してくれます。 セージは、女性ホルモン様作用で有名な大豆などの食べ物よりも、ダイレクトに効果を発揮してくれます。症状がつらい方は、まずはセージのハーブティーから試してみましょう。 セージだけだと飲みにくい場合は、レモングラスなどさわやかなハーブをブレンドすると飲みやすくなります。3~4週間、毎日1~2杯飲むのがいいでしょう。
クラリセージ
クラリセージはヨーロッパ発祥のほんのりと甘い香りがするハーブで、精油を利用します。 クラリセージには、スクラレオールというエストロゲンに似た成分を含むため、更年期障害から月経不順、PMS、若年期の更年期まで、あらゆる婦人系の悩みに用いられています。 更年期に付き物のイライラや疲労感などにも効果があるので、ラベンダーなどもブレンドし、胸や首まわりをオイルマッサージするといいでしょう。
ホーソン
ホーソンはバラ科の落葉低木で、血流をよくする「心臓のためのハーブ」と呼ばれています。 更年期にはホットフラッシュだけではなく、うつや疲れなど様々な症状が出ますが、いずれにしても共通しているのが「血のめぐりが悪くなっている」ということです。 ホーソンは、花から葉、実までそのすべてに血管を拡張させる作用があります。そのため、寝汗をかく、疲れがひどいといった症状を緩和してくれます。
ゼラニウム
ゼラニウムは、ローズのような華やかな香りがするハーブです。 ゼラニウムに含まれるゲラニオール、シトロネロールやリナロールは、不安やうつを沈めてくれる作用やホルモンバランスを整える作用があります。 ゼラニウムの精油は、ベースオイルに混ぜて全身のマッサージに使ってもいいでしょう。 また、柚子の精油をブレンドするのも香りの相性がよく、おすすめです。
ベルベーヌ
ベルベーヌは、フランスでは「神聖な植物」としてよく知られるハーブです。鎮静作用があり、精神の緊張や不安を和らげ、気持ちを明るく穏やかにさせてくれます。 レモンのようなさわやかな香りで、自然の甘みで癖が少ないのでハーブティー初心者にもおすすめです。 更年期の緊張や不安、うつには「自分で気づきにくい」という特徴があるので、40代半ばになったら自覚がなくとも摂取するのがいいでしょう。ストレスからくるだるさや頭痛のケアにも効果的です。 出典:森田敦子「自然ぐすり」(2016)ワニブックス社
ホットフラッシュ&痩せるための運動とは
WHO(世界保健機関)は、すべての成人に1週間あたり150分以上の中程度の運動、または75分以上の高強度の運動をすることを推奨しています。運動は、ダイエットなど減量効果や、血糖値改善などの身体を健康にする効果、メンタルケア、骨粗しょう症やがんなどの予防効果などを得ることができます。もちろん、更年期障害に悩む女性にとっても運動は有効で、更年期症状や抑うつ症状の緩和や体重増加の抑制につながるといわれています。 頻繁に行う中高強度の運動は更年期のホットフラッシュを発症するリスクがありますが、ウォーキングやストレッチのような低強度運動であればホットフラッシュの発症率を高めることはないといわれています。
ウォーキングがホットフラッシュを改善
海外の研究により、ウォーキングなどの運動を続けることがホットフラッシュの改善につながることが明らかになりました。 具体的な研究内容としては、平均年齢51歳の閉経を迎えた女性21のうち14人には、運動プログラムを4か月間続けてもらい、残りの14人は対照群として通常の生活を続けてもらうものでした。 運動の強度は、話しながら続けられ、息が弾む程度になるように調整しました。運動量は、1日30分の運動を週3日から行うことをはじめ、最終的に週5日45分に運動量を増やしていきました。 実験結果としては、運動に取り組んだ女性は、脳内の平均動脈圧と血流の低下がみられ、ホットフラッシュが改善したことが明らかになった。 出典:Physiological Society, :Exercise eases hot flushes during menopause
ストレッチで更年期症状を改善
ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動だけではなく、ストレッチやヨガ、筋トレなどの無酸素運動も更年期症状や抑うつ症状に効果的であるといわれています。アメリカの研究で、更年期症状と抑うつに悩む閉経期の日本人女性40人による実験が行われました。具体的な研究内容として、40人のうち20人が3週間毎日10分間のストレッチをつづけ、残りは対照群として通常の生活をつづけてもらうものです。 実験結果では、研究参加者の更年期症状および抑うつ症状は有意に減少したことが明らかになりました。特に、運動神経系症状においては大きな効果が見られました。筋肉の柔軟性の改善が、関節の痛み、肩の凝りなどを含む運動神経系症状へに影響した可能性があるということです。 出典:Kai Y, Nagamatsu T, Kitabatake Y, Sensui H. Effects of stretching on menopausal and depressive symptoms in middle-aged women: a randomized controlled trial. Menopause (New York, NY), 2016; 23(8): 827.
ホットフラッシュ対策におすすめのツボ
「ツボマッサージ」は、頭痛や肩こり、足の疲れなどを回復させる方法として、よく知られていますが、ホットフラッシュや更年期障害の対策にも効果的です。
太衝(たいしょう)
足の親指と人差し指の骨が交わるところにあるツボです。 「衝」がつくツボは、近くに大きな血管が通っていることが多いので、血の巡りをよくするのに最適です。ホットフラッシュの症状やイライラなどに効果的だといわれています。
大包(だいほう)と屋翳(おくえい)
大包(だいほう)と屋翳(おくえい)は、脇汗や顔汗など発汗を抑えるツボになります。 大包は、脇の下の付け根から3㎝くらい下にあり、屋翳は乳頭の3cm~5cmほど上にあるツボです。 腕を組み、中指で大包、親指で屋翳を押して、2分ほど痛気持ちいい強さで同時に刺激するとより効果的でしょう。
ホルモン補充療法(HRT)について
ホルモン補充療法(HRT)とは、更年期に急激に減少する女性ホルモンをコントロールし、減少幅を抑えてあげることで身体を徐々に慣れさせていく治療法です。日本ではまだまだ普及していないものの、海外では高い普及率になっており更年期障害の治療法としてはもっとも有効とされております。 その他、ホルモン補充療法(HRT)の費用や効果、副作用、やめどきなどについてはこちらの記事で紹介しています。 ▷更年期向けのホルモン補充療法とは?費用や効果、副作用、やめどきについてご紹介します
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、更年期女性の代表的な症状であるホットフラッシュについて、症状が出る期間や対処法などについてまとめてみました。 他の更年期症状に比較すると、ホットフラッシュの症状は改善の見込みが高いといわれているので、是非今回紹介した方法を試してみてください。
監修プロフィール
松峯 寿美(まつみね ひさみ)先生
医師・医学博士。日本産婦人科学会専門医。東京・木場にある東峯婦人クリニック理事長。とくに不妊治療、思春期・更年期医療に力を注ぎ、女性専門外来の先駆けとなる。また、日本にまだ数少ない産前産後ケアセンター・東峯サライを開設。
著書に「50歳からの婦人科」や「60歳からのセックスクリニック」等、様々なライフステージの女性たちの体の悩みに関する講演等でご活躍。