フランス人女医が語る、女性の「性」との付き合い方
vol.5 腟検診の具体的な手順〜産婦人科医師としての仕事②〜

Dr.アルナール フランス人女医が語る、女性の「性」との付き合い方

Salut(こんにちは)!
みなさん、ベランジェール・アルナールです。

前回は産婦人科の診察のうち、問診票と導入の診断についてご紹介しました。

今回は実際にどのように診断を進めていくのかについてお話していきますね。

なぜかわからないけれど、婦人科は歯医者と比べられることがあるんです。ひどいですよね。ですが、婦人科の診察は歯医者と比べてはるかに時間が短く、苦痛も少ないんですよ。

診断における私の心構え
6つのキーワード:情報を共有する、冷静に対応する、思いやりをもって接する、忍耐強く聞く、敬意を払う、一緒の時間を共有する~臨床検査~

産婦人科医の診断には3つの主要な段階があります

  1. 検鏡検査
  2. 手動の腟検査
  3. 乳房の触診

「今のところ下の服だけ」と患者さまに着ている洋服を脱いでもらいます。

1.検鏡検査(処女でない場合)

冷たい金属製の器具を腟に挿入します。冷たい金属でできているため、検鏡を事前に検鏡ヒーターに入れるか、お湯で温めるなどして、患者さまの不快感をできるだけ軽減するようにしています。検鏡にはいくつかのサイズがあります。通常、できるだけ違和感を感じないように最小のサイズのものから始めます。

この器具は、腟壁を広げ、全体をチェックし、そして一般的には腟奥の左側にある子宮頸部を調べます。子宮頸がんや子宮がんの塗抹標本(とまつひょうほん*1)は毎年行うべきだと思います。

*1 白血球や赤血球の成城や比率などを詳しく調べるために、血液を小さなガラスの板に塗りつけて色素で染色。顕微鏡で細胞の種類などを判定するもの。

異常な腟分泌物、ヒリヒリ感、かゆみ、刺痛、臭いがひどい場合は、やみくもに治療することなく、細菌学的検査を行うことがあります。

検鏡は通常、女性が両足を広げ、仰向けになっているときに挿入します。足を広げることが恥ずかしくてとてもできないという女性のために、足を合わせたまま検診したり、体を横に向けて検査を行うこともできます。

私は外陰部(*2)の入り口に検鏡を置き、「丁寧に手早く済ませるので、いまから挿入してもいいですか」と患者さまに尋ねます。

*2 外陰部とは、男女の生殖器で外部に現われている部分のことを指します。女性の場合は、恥丘、大陰唇、小陰唇、陰核、腟前庭などからなります。

導入前にお湯で再加熱された金属製の検鏡は、使い捨てのものよりも、実ははるかに受け入れやすいのです。

私はHIV/AIDSの女性にのみ、使い捨てのプラスチック製の検鏡を使用するようにしています。サイズは「大」と「小」の2つだけです。

プラスチック製の検鏡は滑りにくく、開きにくいため、患者さまが不安になるような音を立てることがあります。 金属製の検鏡は洗浄され、オートクレーブ内130°以上で消毒・滅菌します。

2.手動の腟の検査(処女でない場合)

2本の指(人差し指と中指)を使って検診します。腟が小さかったり狭かったりする場合は1本だけで行います。指サックを使い、ゆっくりと腟に挿入していきます。

塗抹標本を行った後、腟検査の前に、セントジョンズワートオイルまたはアプリコットシードオイルを指サックと外陰部に塗ります。違和感を軽減する効果があります。

腟鏡と1本または2本の指を腟検査のために挿入するときは、上向きに強い圧力をかけるようにします(恥骨のあたりで痛みを感じない部分です)。こうすることで、腟の下部領域の圧迫感が減少します。

腟は、傷つきやすく、陰茎が侵入することによりヒリヒリ感を引き起こす可能性があります。これは性行為中およびその後も続くことがあります。この傷が治るまで2〜3日かかることもあります。同じく、骨盤検査のときに丁寧に扱わないと、このような傷が発生する可能性があるため、慎重に行います。

指を挿入していないもう一方の手は、恥骨の上の下腹部にあり、腹部の触診を行っています。

腟に挿入した指に従って子宮を触診することで、子宮の大きさ、位置、形を確認しています。卵巣を確認できる場合もあります。こうした確認ができるように、診察の前に患者さまがトイレを済まして膀胱を空にしておくことが重要です。また、患者さまをリラックスさせる必要があります。

肥満や、検査中ずっと萎縮している、あるいは、落ち着きなくよく動く患者さま(「カエルさん」と呼んで冗談を言ったりします!)の場合、腟に触れられても、何も感じられない時があります。心配な場合は、骨盤超音波検査を行います。

S状結腸または直腸の部分に便がいっぱい詰まっているために、間違った診断をすることもあります。その場合は患者さまに排便を促し、別の腟検査を行うことがあります。

直腸検査(処女の場合)

実は私はこの検査を行いません。婦人科の領域を診断としては、行き過ぎではないかと考えているからです。腟内経路なしの、腹部経路のみによる骨盤超音波で十分事足りると考えます。

まとめ

さて、今回は診察の実際と主に腟検査についてのお話でした。
ちょっと難しかったかもしれませんが、いかがだったでしょうか?

次回は乳房の検診についてお話したいと思います。
それでは今日はこの辺にいたしましょう。
Au revoir(さようなら)

著者プロフィール

dr-Berengere-Arnal

Dr. Berengere-Arnal
ベランジェール=アルナール

医師・医学博士

パリ第13大学医薬学部 元教授
婦人科専門医

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