フランス人女医が語る、女性の「性」との付き合い方
vol.3 年齢と「性(セクシュアリティ)」の相関関係

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Salut(こんにちは)!
みなさん、アルナールです。

今回は、年齢と「性(セクシュアリティ)」の相関関係についてお話していきたいと思います。

若いフランス人女性とセックス

若いフランス人女性とセックス

フランスでは法律上、結婚可能な年齢は15歳ですが「初めてセックスを体験した年齢」は平均で17.5歳です。

セックスに対する親の受け止め方は、この40年で大きく変化しました。かつては「セックスは絶対に禁止」「セックスについては語らない」という両親がほとんどでしたが、最近は高校生のセックスを容認する動きも出てきました。

さらに、SNSというコミュニケーションツールが登場してから、思春期の高校生のセックスに対するイメージも大きく変わりました。SNSの情報だけを見ると、実際の平均よりも早く、女子高校生たちがセックスを体験しているというイメージを与えてしまいます。そんな情報に影響され、女子高校生たちが軽い気持ちでセックスに走ってしまうことも懸念材料としてあがっています。

一方で、彼女たちはSNSで常に誰かとつながっています。だから、SNSに忙しく、実際のパートナーとの身体の接触する時間をほとんど持つことができないという現実もあるようです。

セックスに対する考え方は時代により変化していくものですね。

年代別の「性(セクシュアリティ)」「性生活」に関するお悩み

先ほどは初体験についてのお話でしたが、そこから経験や年齢を重ねるに連れ、年齢ごとに違う特定の悩みと問題が、「性(セクシュアリティ)」「性生活」に関して出てきます。

婦人科には様々な問題を抱える女性たちが毎日訪れますが、年代によって全く違う対応が求められます。たとえば、10代の思春期の女性や恋愛中の若い高校生、20歳に輝いている学生もいれば、妊娠を望んでいる若い花嫁もいます。

一方、不妊症に悩む40代の女性、高齢で望まない妊娠をした女性、毎晩ホットフラッシュに悩む更年期障害に苦しむ女性、定年退職をした女性、年齢を重ねることによる女性特有の健康問題を抱える女性、などなど。

そこでここでは年齢ごとに違う特定の悩みと問題を掘り下げていきます。自分のお子さんや親戚に高校生がいる方、各年代の女性が職場やコミュニティにいる方には、参考にしていただけると思います。

年齢ごとに違う特定の悩み

10〜14歳:
思春期は胸が膨らみ、生理が始まることで、女性としての身体の変化を実際に感じる年齢です。「性」と向き合う大事な時期ですので、まずは年齢にあった本をおすすめするようにしています。

15〜19歳:
「生理について」「セックスについて」「それぞれのセクシュアリティ(自分の性のあり方)について」「胸のふくらみなどの身体の変化について」「乳房の自己検診について」など、この年代の女性に婦人科でお伝えすべきことは山のようにあります。

しかし、15〜19歳という、思春期真っ只中の高大学生たちがセックスの経験者の場合、最初の婦人科検診を注意深く行うようにしています。というのも、最初の婦人科検診で嫌な思いをしてしまうと、彼女たちと二度と婦人科に相談に来なくなるという危険性があるからです。

10〜14歳の小・中学生に推薦した「セクシュアリティ(性)」の本を、この年代に推奨することもできますよ。

20〜29歳:
フランスでは経口避妊薬(ピル)を使っての避妊は当たり前のこととして捉えられているため、20代になるとピルを飲み始めます。数年服用している人たちには、子宮内不妊器具(IUD)をわたしは薦めるようにして、そのメリットとデメリットについて伝えるようにしています。というのも、ピルで強い副作用が出ることもあるからです。たとえば、ピルを飲むことで性欲が低下したり、吐き気や不正出血の発生したりするだけでなく、うつなどを発症する可能性もあります。人によっては、血栓症を誘発する恐れもありますので、ピルの服用には細心の注意が必要です。

30歳〜74歳:
30歳を超えると、セックスに関する悩み相談が一気に増加し、相談内容も幅広くなります。セックスの相談は、この年代だけでなく、74歳以上でも必要なことだと思います。ぜひかかりつけの産婦人科で「セクシュアリティ(性)」に関する悩みを打ち明けるようにしてください。悩みの内容によっては、セックスセラピスト、性分析士、性科学医、心理療法士、精神分析医などの専門家を紹介することもできるからです。

「セクシュアリティ(性)」についての問題は、女性の身体特有の生理的なことだけでなく、パートナーとの関係性、心理的な悩みなどが複雑に絡み合っています。これらの要因をひとつひとつ紐解くことで、人それぞれの「セクシュアリティ(性)」に対する悩みを解決していくことができます。

全年代の女性に覚えておいてほしいのは「セクシュアリティ(性)」とはとても個人的な、唯一無二のものです。快楽を感じる以上に、精神的、感情的に解放される人もいます。また、カップルにとっては、お互いが共鳴しあうことで最高の体験になることもあります。

唯一無二だからこそ、他の人と比べることなく、自分の「セクシュアリティ(性)」に向き合ってほしいと考えています。

それでは今日はこの辺にいたしましょう。
Au revoir(さようなら)

著者プロフィール

dr-Berengere-Arnal

Dr. Berengere-Arnal
ベランジェール=アルナール

医師・医学博士

パリ第13大学医薬学部 元教授
婦人科専門医

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