人生100年時代といわれる今、美しく歳を重ねるために外側からだけでなく、内側からもアプローチをすることで、潤いのあるからだをキープすることが大切です。

初潮から始まり、妊娠・出産・更年期・閉経と女性のライフステージには様々な変化があります。また、女性が社会で活躍するようになった現代社会において、女性の働き方やライフイベントのタイミングも様々になったことで、ひとりひとりが自分に起こる女性特有のからだの変化と向き合う必要があります。

これから、女性特有のからだの変化と向き合うための情報発信の場として展開していくWOMB LABOのオープン記念企画として、WOMB LABO主宰である植物療法士・森田敦子が産婦人科医・松峯寿美先生をお迎えして、女性のからだの仕組みとフェムテックに関する基礎知識、そして今後のセンシュアルケアの展望について語っていただきました。

【第1回】私たちの考える「フェムテック」とは

森田敦子(以下、森田)今日は東峯婦人クリニックの院長であり、婦人科医でもある松峯寿美先生と楽しく女性の体の仕組みについて、そしてセンシュアルケアの大切さについてお話ししてみたいと思います。よろしくお願いします。

松峯寿美先生(以下、松峯)よろしくお願いします。

森田人生100年時代と言われるこの今、私たちは年を重ねる上で、やっぱり健康で美しく元気よく生きるということがとても大切になってきました。その中で、ここ最近「フェムテック」という言葉も出てきまして、今日はそういったお話もさせていただきたいのですけれども、先生は婦人科医になられて何年経つんですか?

松峯1970年からですから

森田50年!?

松峯ふふふふ、長かったですね。

森田そうですよね。それって本当にすごくたくさんの女性の人生をずっと見てきたことになりますよね。

松峯そうですね。産婦人科っていうのは4つの大きなセクションに分かれるんですよね。1つはこの従来産婦科と言われてたように妊娠・出産を扱う分野、それからあのもう1つは、不妊とかホルモンの異常ですね。そういった生殖内分泌の分野。それからもう1つが子宮癌とか卵巣癌とか、いわゆる婦人科が取り扱う悪性腫瘍の分野。それでもう1つが、最近特に言われてるのが、まあこのフェムテックもその1つだと思いますが、女性の健康。そして特に更年期とか。それから昔よりまあ寿命が長くなりましたからね。

その寿命が長くなった分、女性が楽しく健康に生きていくというところをお手伝いする、女性の健康の分野と大きく4つに分かれています。私たちはその50年かけて、その4つのセクションを1つ1つどの分野もできるように勉強してきたんですけどね。最近は特にそれが4つの分野に分かれて、スペシャリティになってきてます。今日はそのフェムテックについて、その女性の健康とフェムテックについてね、森田先生とお話ができるので、とても楽しみにしてきました。

森田先生ありがとうございます。わたしも楽しみにしてました。今、フェムテックっていう言葉は日本では、女性の体のいろんな、今先生をお話しくださった諸問題に対して、その課題に対して、テクノロジーがある。例えば、腟トレをするためのボールですとか、月経カップとか、デリケートゾーンのケア、そんな商品を取り入れる事って言われていますが、私が考えるフェムテックというのは、その私たちの持ってる女性の体の中の仕組み、そしてこういったことを知識、しっかりと、どうして排卵が起こるのかとか、妊娠出産、それだけではなく、外陰部の仕組みとか、きちんとそういう本当に体の中にびっくりするほどのテクノロジーがある。だからフェムテックって言ったら、その案外、まず女性の体の中にあるんじゃないかなと思っていて、その上で、体の仕組みをしっかりと知るってことが女性にとってはすごく大切だと思うんです。

松峯そうですね。私この50年間産婦人科やってまして、女性の体っていうのはもう生まれついてね。すごい。テクノロジーを持って生まれてきてる。素晴らしいテクノロジーで満ち溢れてると思いますよ。

森田そうですよね。

松峯素晴らしいと思いますよ。

森田私たちが意識しなくても、きちっと指示が来て、排卵をする、本当に無数の仕組みがあるわけですもんね。

松峯それはそれはね、不思議です。もう不思議としか言いようがない。だから、これを外側からテクノロジー、人間が作り出したね、テクノロジーで何とかしようというのがとっても無理な分野がまだまだあります。わからない分野もあります。

森田あのー、更年期にあるとか月経痛やPMSや、こういうことで、たくさんの女性たちが悩んで、先生の婦人科のクリニックへ行かれるわけですよね。

松峯そうです。そうです。人間ですから、やはり心の問題、体の問題、いろんな問題がありますけど、それはこう複合して、暮らしにくい時もあるでしょうから、そんなところを私たち産婦人科が色々工夫して考えて診療してお手伝いできている現状だと思いますね。

森田ひとつ外陰部というところを取っても、日本は今、フェムテックという言葉を自由に、自由といっても、まだ本当に氷山の一角だと思うんですけども、少し言えるような時代が来ましたが、外陰部というその腟周りのことをあの口にしてはいけない、あるいは触ったこともない、見たこともない。それから、いや触ってはいけない、はしたない、陰部は陰である、下であるっていう、ちょっとこう悪いイメージを持つ女性が多いんですけれども、先生はその辺はどう思われますか?

松峯もうこの月経というのは、太古の昔から女性にそんな兼ね備えられた生理なんですよ。この月経があって、血が出て、そしてその月経の関連して妊娠して、妊娠したら出産して、こちらの体の不思議な自然の仕組みがあるんですけれども、その血液が出るというその仕組みのね。一端が昔はその血液が出ると、それが感染してばい菌になって、お腹の中で子宮内感染症を起こしたりして、そしてその頃には抗生物質がないから、亡くなったりなんかするもんですから、血が出た、けがらわしい、隔離する、他の所に行ってください、みたいな、そういう時代があったことは確かです。けれども、最近はですね、とても良い、月経の時の生理用のナプキンから、まあカップでしょうか、タンポンとかいろんな工夫がありましてね。

しかもですよ、月経というのは決して、汚れたものではない。血が出てもそれは健康な証拠、健康のバロメーター、月経が来るということは、健康のバロメーター、っていうぐらいの知識が普及してきましたから、これはとても良いことだと思いますし、女性の体のふしぎさを1つ1つ、丁寧に解明していくということも大事なことだと思います。

森田それですよね。だから、その女性の体の仕組み、その仕組みとか1つ1つの名前、例えば外陰部にもその名前が1つ1つ付いているように、それからその知識をしっかりとこう知っていく、知った上で例えば何か課題があれば、どうケアをしてあげたらいいのかってことを知るのは先生とても大切ですよね。

松峯大切ですね。わたしたち、物を食べる時には口から食べますよね。この口っていうのはあの歯が欠けたりすると皆さん分かるし、ベロを噛んだりして、痛くなったら困るのと同じように、口っていうのはものすごく大事な場所。食べて消化して便を出して体をメンテナンスしてる。入れるところと同じように出すところも大事だと思ってます。

で、女性の体は特に男性とちょっと違うところがありますね。それは女性器というのはおしっこの出口、尿道口。それから先ほどからお話が出てる月経血の出口。まあ、出産の時は産道という名前に変わりますけれども、この産道という腟の出口。それからもう1つは先ほどの口から繋がってる消化管からの肛門。この3つがね。女性の場合は穴がね3つ並んでるの。

森田本当に3つ並んでますよね。毎日お世話になっている。

松峯そう、どれをとってもね。大事なんです。私からこの大事なこの3つの穴を上手に保護するといいますかね。その守る役目をするのが、小陰唇と言って、先ほど言った口のところにあります、唇と同じように大事なんですよって言うことで、「下の方の唇」っと言うことで小陰唇。それからその外回りをさらに守るように大陰唇っていう風になってますね。

森田そうか、大陰唇、小陰唇には、確かに唇っていう字がつきますよね。この口腔とその腟というのはとてもたくましい組織なのよって先生から聞いたときは、それをすごく驚きでしたけど。

松峯なんか隠されてるところだから、かよわでひよわで守られているのかと思ったら大間違いで、すごくたくましい場所だと私は思ってます。その証拠にあの女性ホルモンっていうのが、思春期になって出てきますとね。生まれたての赤ちゃんの時はどれが小陰唇、どれが大陰唇みたいな、よく分からないような外見だったんですが、けれども思春期になって女性ホルモンが出てきますとちゃんと発育して、それから色素沈着をして毛も生えて、そんな風にだんだん発育してくる。

で、その発育と同時に逞しい臓器に変貌していくんですから、ですから、こう口を考えて、硬いおせんべいバリバリ食べたり、固いお肉を噛んだり、まあ魚の骨が刺さったり、そんなことしても口の中ってすぐ治るんですよね。3日もかからない。それと同じメカニズムが、あの外性器の方にもできてます。ですから、外性器の方は、じゃあどんな時に強くなきゃいけないの?っていうと一番大事なのは出産ですね。

森田そうですよね。こんなに大きな子が出てくるわけですよね。グルグルと。

松峯そうだから、まあ、私も森田さんも出産を経験してるからよく分かりますけれども、あの赤ちゃんがどうやって出てくるのかしらと思いますよね。

森田その1つの現象だけを考えてもね、これは素晴らしい、テクノロジー、フェムテックです。

松峯フェムっていうのはフェミニンですよね。女性のフェミニンで、テクってのはテクノロジーでフェムテックですけど、これは外的なものではなくて、自然界におのずとあるテクノロジーだと思ってます。

森田そうですね。今、あの先生の話を聞かせていただいたとおり、何か女性の課題に対してテクノロジーがあるものをまず使いましょう、っていうそのものも素晴らしいですけど、やはり私たちのその女性の体の中に備わった自然界にこう出来上がった、もうミラクルのようなテクノロジーが考えるフェムテックっていうのはそこが一番大切ということですね。

松峯その通りですね。もうその最先端のフェムテックについて、今日は少しお話しできる時間があってとても楽しいです。

森田では、第1回目はこれで終わりにしたいと思います。

プロフィール紹介

森田敦子

森田敦子(もりた あつこ)

日本における植物療法の第一人者。株式会社サンルイ・インターナッショナル代表。客室乗務員時代に植物療法に出会い劇的に改善後、渡仏。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を本格的に学び、帰国後、植物療法に基づいた知見を社会に提供するため、デリケートゾーン&パーツケアブランド「アンティーム オーガニック」の処方・開発や、「ルボア フィトテラピースクール」を主宰。2020年、女性の一生をサポートするためのトータルライフケアブランド「Waphyto」を立ち上げる。
私生活でも42歳で自然妊娠・出産。著書「潤うからだ」他多数。

松峯寿美

松峯寿美(まつみね ひさみ)先生

医師・医学博士。日本産婦人科学会専門医。東京・木場にある東峯婦人クリニック理事長。とくに不妊治療、思春期・更年期医療に力を注ぎ、女性専門外来の先駆けとなる。また、日本にまだ数少ない産前産後ケアセンター・東峯サライを開設。著書に「50歳からの婦人科」や「60歳からのセックスクリニック」等、様々なライフステージの女性たちの体の悩みに関する講演等でご活躍。

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