最終更新 2022.10.26 by WOMB LABO編集部
10月はBreast Cancer Awareness Month~
世界的なピンクリボン月間です。
昨年もちょうどこの頃に記事として紹介しています。
もくじ
忙しいから後回し?
さて、皆さんは年に一度の検診を受けていますか?
乳がん検診の結果で要再検査・要精密検査と書かれていても、後回しにしていることもあるのではないでしょうか。「自分は大丈夫」、「仕事が忙しい」、「もし乳がんだったらどうしよう」、このような理由で病院に足を運ぶのを拒んでいる女性も少なくないと思います。
健康には人一倍気を使い、セルフケアも怠らず、知識も十分にあった親友が乳がんになったのは、昨年のことでした。自分事のようにショックでした。家族や親戚には誰一人乳がんの病歴はなく、自分で発見することは難しいシコリがないタイプのものだったと言います。私自身、この親友の事をきっかけに、健康だと思っていても、女性であれば誰にでも起こりうる事、身近な事なのだと捉えるようになりました。
乳がん=死ではない
彼女が乳がんになる前は、「乳がん=死」が私の中で強くありました。しかし、乳がんは早期に発見できれば9割が治ること、また、同じ病気であっても、結婚して子供がいる、いない、働きながら子育てしている、子どもは巣立って閉経しているなど、その立場やステージ、乳がんの種類によって状況や治療は大きく異なるということを知りました。
彼女は独身で働いていた中で告知を受けたのですが、打ち明けてくれた話からは「検査を受けるタイミング」と「分かってからのアクション」が要だという印象をうけました。
エコーだけだったら発見できなかった
2018年には女性の癌で一番多いのが乳がんと発表され、アメリカでは8人に1人、近年、日本でも生涯で乳がんに罹患する確率は9人に1人と言われています。1) 2)
私が彼女の話を聞いていて血の気が引いたこと。それは、マンモグラフィーの検査は痛いと聞いたから、キャンセルをしてエコーだけにしようかと考えていたこと。後からお医者様に、エコー検査とマンモグラフィー検査では発見できるものが違うので、もしエコー検査だけを選択していたら発見できず、また1年経過するところだったと言われたそうです。タイミングが早かったため、0期という段階で阻止でき、いまは元気に生活しているけれど、これが1ステージでも進んでいたら治療方針も大きく違っていたと話していました。
とにかく検査は後回しにしない。後回しにすることのほうが怖いということ。それを教えられたように思います。
マンモグラフィーとエコーの検査は何がどう違うの?
マンモグラフィーはエックス線を使った検査となり、乳房を圧迫する痛みが伴います。
少量の放射線被ばくがあり、若い女性や乳腺濃度が高い女性だと乳腺組織が白く映り、初期の乳がんを見つけにくい場合がある一方で、「しこり」や「石灰化」のように触れることの出来ない小さな病変を写し出すことが得意なようです。3)
エコーは、その名の通り超音波を使った検査でカラダへの負担が少ないですが、検査を実施する技師の技量によって差が出ると言います。4)
保健適用ではありませんが、痛みを伴わないMRI検査があるということを、2021年フェムテックジャパンのイベント会場で知りました。当時、会場には無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)の開発者である高原太郎先生が説明をしてくださいました。高原先生によると、MRIは強力な磁石でできた機械の中に入り、放射線を使わず磁石と電磁場の力を利用して身体の臓器や血管を色々な断面で撮影する検査ということ、また、痛みはなく、シャツを着ながら撮影もでき、乳房を見られることがないのも利点の一つということでした。マンモグラフィーは放射線被ばくがありますが、MRIはないというのも安心です。
特に日本の女性は乳腺濃度が高い女性が多いので、マンモグラフィーで映りにくいものが発見できるという点も魅力的です。5)
世界のフェムテック・テクノロジーでできること
早期乳がん発症を自分でみつけられるという画期的なフェムテックイノベーションがあります。それが、サーモグラフィーとAIを駆使し、スマートフォンで乳がんのセルフチェックができるというもの。THERMAISCAN。(サーマイススキャン)6)
2020年に立ち上げられたスウェーデンのこちらの企業は、ヘルスケアイノベーションが主宰する「イノベーションチャレンジ」でも優勝し、その後は、スウェーデン、アルメニア、インドで事業を展開しています。7)
乳腺濃度が高いとマンモグラフィーでは早期発見が難しいと言われていますが、THERMAISCANは、このような乳房組織の密度の影響は受けないと言います。6)
ポケットサイズの赤外線カメラとAI技術をスマートフォンに組み合わせて、皮膚表面の温度差を測定する仕組み。低コストで、放射線被ばくも避けられ、気軽にセルフチェックができる。医療関係者でなくても誰もが操作できる画期的なイノベーションです。6)
もちろん、定期的に医療機関で検診を受けることは必要ですが、このようにテクノロジーで女性の健康をサポートするフェムテック(Female+Technology)によって、病院に行かなくても日常の中で簡単にセルフチェックができる時代が来るのかもしれませんね。
終わりに
WOMB LABOでも大切にしている言葉、「まず自分」。
自分のカラダや心が何を伝えているか、自分に正直に、自分でいること、自分をケアすること、これが何よりも大切。私も乳がんを体験した親友を目の当たりにしてから、よりこの言葉の重みを感じます。
セルフケアと聞くと、マッサージやスキンケアを思い浮かべるかもしれませんが、検診を受けてみること、これも大切なセルフケアです。皆さんもこの機会に、ぜひ、積極的にこのセルフケアを取り入れてみてください。
1).ピンクリボンフェスティバル
https://www.pinkribbonfestival.jp/314/
2).国立がん研究センターがん情報サービスがん登録・統計サイト
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/14_breast.html
3).ドゥイブス・サーチ 乳がん検診の種類 マンモグラフィ検査(エックス線)
https://www.dwibs-search.com/types/
4).ドゥイブス・サーチ 乳がん検診の種類 エコー検査(超音波)
https://www.dwibs-search.com/types/
5).ドゥイブス・サーチ 乳がん検診の種類 非造影MRI検査(磁気)
https://www.dwibs-search.com/types/
6).THERMAISCAN FemTech And Cancer
https://thermaiscan.com/
7).ILA_Sector_Report_HealthTechV2_JP_FINAL p.27
https://innovationlabasia.dk/wpcontent/uploads/ILA_Sector_Report_HealthTechV2_JP_FINAL.pdf
著者プロフィール
Rachel Tamiya
フェミニンケア・女性のウエルネスケア業界で海外営業企画を担当。
学生時代、新社会人時代とアメリカで過ごす。コロナ禍前は1年に11か国と仕事やプライベートで海外渡航することも。
自身の海外体験を通し、世界のフェムテック事情やフェムテック経験談を取材、独自の観点から紹介する。