更年期障害を漢方でケア。効果やおすすめなどについてご紹介します

最終更新 2021.09.16 by WOMB LABO編集部

こんにちは。WOMBLABO編集部です。女性特有の悩みである更年期障害を漢方薬でケアしませんか?今回は、更年期向けの漢方治療の効果や市販品、メリット・デメリットについてご紹介します。

更年期障害の対処・治療について

一般的に、閉経を挟んだ10年間のことを更年期といいます。 更年期の間に、ホットフラッシュ、肩こり・腰痛、食欲不振、性交痛、頻尿など様々な症状が起こります。これらは、不定愁訴とも呼ばれています。不定愁訴とは、「頭が重い」、「疲労感が取れない」、「よく眠れない」、「なんとなく体調が悪い」という主観的な多岐にわたる自覚症状があるものの、明確な原因がない状態のことを指します。 更年期障害の治療法には、ホルモン補充療法(HRT)や漢方治療、抗うつ・抗不安薬による治療法などがあります。 今回紹介する漢方による更年期障害の治療は、からだの状態を総合的に診て、全体のバランスを整えるということを行います。ホルモン補充療法(HRT)が使用できない場合や、複数の更年期障害の症状がある場合に試してほしい方法の一つです。

漢方薬とは

漢方薬とは、自然界にある植物や鉱物などの生薬を組み合わせて作られた薬です。 何千年という長い歴史の中で、生薬の種類、量、組み合わせで得られる効果や有害な事象がないかということが確かめられ、漢方薬として体系化されました。 漢方医学では、人の体は「気(き)」、「血(けつ)」、「水(すい)」で構成されていると考えられています。「気(き)」は人の体を支えるエネルギーのようなもの、「血(けつ)」は全身に栄養を与えるもの、「水(すい)」は、体内にある水分のことです。この3要素は、お互いに影響しあいながら、バランスを保っている状態こそが健康であるといわれています。この「気・血・水」のバランスを整えることを重要視しています。

漢方薬の特徴

漢方薬の特徴は、大きく分けて3つあります。 ①複数の生薬を組み合わせているので、一剤で様々な症状の改善や緩和が期待される ②自然科学的かつ伝統的医学である ③個人の体質や特徴を重視し、症状をみて判断するので原因不明や体質によるものでも対処できる

漢方薬の費用について

ドラッグストアや薬局で購入できる市販薬だと10日分で2000円~ほどになります。 しかし、漢方薬のうち148品目は、保険が適用され病院で処方してもらうことが可能です。 保険適用の漢方治療の場合、およそ1か月分2500円~ほどになります。

漢方薬と西洋薬の違い

漢方薬は、人それぞれの体質や心身の状態などに合わせて、自然治癒力を利用して「病気をもつひと」を治すものです。一方、西洋薬(新薬)は人工的に化学合成された物質を利用し、病気の原因になっている器官に合わせ、「病気自体」を治すものになっています。 漢方医学と西洋医学のそれぞれの特性を生かして、短所を補うために治療法を併用する動きが多くみられています。更年期障害の治療に関して述べると、もっとも一般的になっているホルモン補充療法(HRT)と漢方薬を併用するケースはとても多いです。

漢方医学からみる更年期はいつ?

中国由来の漢方の古典「黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)」によると、女性には7年ごとに心や体が変化する節目があるといわれていました。 7歳 永久歯が生える 14歳 初潮を迎える 21歳 女性らしい体ができあがる 35歳 容姿の衰えを感じ始める 42歳 白髪が目立ち始める 49歳 閉経が起きる。 56歳 肝気が衰え始める 63歳 心気が衰え始める 上記をみると、35歳頃がプレ更年期にあたり、42歳以降が更年期に当たるのではないでしょうか。古代中国の時代には「更年期」という概念はなかったですが、女性特有の悩みは昔から変わらない普遍的なものであったことがわかります。

漢方薬に期待される効果

漢方薬は、急性疾患から慢性疾患まで様々な症状に効果が期待されます。 ここでは、効果が期待される症状の一例をご紹介します。 ・急性疾患 頭痛、発熱、悪寒、鼻水、炎症性疾患、じんましん、かゆみ、嘔吐など ・慢性疾患 食欲不振、不眠症、ノイローゼ、肝機能障害、更年期障害、むくみ、めまい、便秘など 出典:漢方薬一覧

漢方を服用するメリット・デメリット

漢方を服用するメリット・デメリットについてご紹介します。

漢方を服用するメリット

①体質による症状や原因がわからないものでも対処できる ②複数の症状に効果的である ③西洋薬に比べて早期治療が始められる ④ホルモン補充療法(HRT)と併用できる

漢方を服用するデメリット

①効果が見えづらい ②身体に合うかどうかが実際に使うまでわからない 更年期障害の治療法における漢方治療は、副作用への懸念や持病があってホルモン補充療法を使得ない人や、複数の症状に悩まされている人におすすめです。

漢方薬はいつまで飲む?

漢方治療というと、「長く飲み続けなくてはならない」というイメージがつきものです。 しかし、漢方治療の最終目標は症状の改善です。あくまで一時的に漢方薬を使用して全身の機能を支え、自然治癒力を引き出すとを目的としています。ですので、服用前の症状が改善されたら、服用を中止しても大丈夫です。

更年期向け漢方メーカーはツムラが最大手

国内医療用漢方薬の市場では、ツムラが約85%のシェアを占めており最大手になっています。 国内漢方薬品メーカーの売上高をみてみても、1位 1,104億円(ツムラ)、2位 210億円(クラシエ薬品)、3位 162億円(東亜薬品)となっており、ツムラの一強状態になっています。(2014) ツムラの売り上げのうち、約9割が病院で処方してもらう医療用漢方薬です。ツムラでは、保険適用される漢方薬148品のうち、129品目を取り扱っています。 出典:株式会社ビジネス・ブレークスルー 

市販漢方薬と医療用漢方薬の違い

国内最大手の漢方薬品メーカ―ツムラでは、医療用漢方薬だけではなく、市販漢方薬の販売も行っています。 市販漢方薬と医療用漢方薬には、含まれている成分量の違いがあります。 市販の漢方薬は、医療用漢方薬の1/3~1/2程の成分量に抑えられています。その理由は、不特定多数の人が服用しても副作用等が起こりにくいようにしているためです。それに伴い、効果もマイルドになるとされています。

更年期向け市販の漢方薬をご紹介

ここでは、更年期障害向けの市販で購入できる三大漢方薬をご紹介します。

更年期向け漢方 加味逍遥散

加味逍遙散(かみしょうようさん)は、月経異常や更年期特有の様々な症状によく用いられる漢方です。加味逍遥散という名前は、移り変わる様々な症状に効果があることから由来されたものです。 具体的に効果が見込める症状として、冷え性、ホットフラッシュ、生理不順や生理痛、神経痛、精神不安や苛立ちなどの精神神経症状などがあります。

更年期向け漢方 当帰芍薬散

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)は、女性の聖薬ともいわれ、月経トラブルを始めに女性特有の症状に広く用いられています。体力がなく、やせ型の女性に向いています。 効果が見込める症状には、体の疲れ、冷え性、貧血、めまい、生理不順や生理痛、不妊症、むくみなどがあります。

更年期向け漢方 桂枝茯苓丸

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は、血行をよくする漢方薬です。体格がわりとしっかりした赤ら顔の人に向いています。 効果が見込める症状には、月経トラブル、頭痛、めまい、肩こり、ホットフラッシュ、冷え性などがあります。また、ニキビやシミ、しもやけなどにも用いられます。

まとめ

いかがだったでしょうか。更年期向けの漢方治療に関わる情報をまとめてみました。 ホルモン補充療法(HRT)を試せない人や副作用に懸念がある人でも、漢方治療なら始められるのではないでしょうか。更年期の悩みは決して我慢するものではありません。適切な対処法をとって過ごしやすい毎日を送りましょう。 関連書籍はこちら▷松峰寿美監修「50歳からの婦人科―こころとからだのセルフケア」  

監修プロフィール

松峯 寿美(まつみね ひさみ)先生

松峯 寿美(まつみね ひさみ)先生

医師・医学博士。日本産婦人科学会専門医。東京・木場にある東峯婦人クリニック理事長。とくに不妊治療、思春期・更年期医療に力を注ぎ、女性専門外来の先駆けとなる。また、日本にまだ数少ない産前産後ケアセンター・東峯サライを開設。
著書に「50歳からの婦人科」「60歳からのセックスクリニック」等、様々なライフステージの女性たちの体の悩みに関する講演等でご活躍。

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