更年期とは?生理事情や症状、原因などについてまとめてみました

こんにちは、WOMB LABO編集部です。女性なら必ず訪れる「更年期・プレ更年期」のことを自分自身でしっかり理解できていますか?今回は、更年期の生理事情や症状、原因などについて紹介します。

更年期・プレ更年期とは

更年期とは

閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間のことを「更年期」といいます。 個人差はありますが、一般的に日本人女性の閉経が平均50歳前後と言われているので、45~55歳が更年期にあたる年代だといわれています。

プレ更年期とは

更年期を迎える前の10年位の間、35~45歳の間に更年期障害と同じような症状が現れる場合があり、これを「プレ更年期」といいます。

更年期になると生理はどうなる?

プレ更年期や更年期に入ると、生理不順になることが多いとされています。正常月経は月経周期日数が25~38日、生理の期間は3~7日間です。しかし、生理不順になると月経周期日数25日未満で出血することや次の月経まで39日以上かかってしまうことがあります。

月経について

まずは通常の月経の仕組みについて説明します。 ①卵胞期 女性の卵巣の中には、数十万個の原始卵胞(卵子のもと)があります。卵胞は毎月一個ずつ卵巣の中で成長します。その成長を促すために脳下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌されます。その刺激により、卵胞が成長すると卵胞ホルモンが分泌され、排卵と妊娠への準備のために心や身体を整えます。具体的には、子宮内膜を厚くし、自律神経の働きを安定させます。 ②排卵 卵胞から卵子が排卵されます。また、卵子が出ていった抜け殻を黄体と言います。 ③黄体期 黄体から「プロゲステロン」という女性ホルモンが活発に分泌されるようになります。プロゲステロンは、子宮内を妊娠しやすい環境に整え、維持する役割があります。具体的には、エストロゲンの働きで厚くなった子宮内膜を柔らかくすることや食欲を増やす働きがあります。 ④月経 排卵後に受精が成立しないと、エストロゲンとプロゲステロンの両ホルモンの分泌は自然と低下します。そして、ホルモン分泌によって整えられた子宮内膜がはがれて血液とともに排出されます。これが月経です。

閉経について

閉経とは、月経が1年以上起こらず、完全に停止した状態です。このころには、女性が本来持っていた卵胞はほぼ消滅しています。 閉経する時期については、40歳以下で閉経する人もいれば、56~57歳ぐらいまで月経がある人もいて、個人差が大きいです。よくあるプレ更年期から閉経までのパターンは以下の通りです。 プレ更年期(30代後半~40代後半) ・月経周期が短くなる、乱れるようになってきた ・経血量の増減にムラがでるようになった ・月経前や月経中に疲れやすくなった ↓ 更年期はじまり(40代後半~) ・月経が2-3ヶ月空いてしまうことがある ・逆に短くなり月に2髪も出血することがある ・月経周期の乱れが大きい ・月経前に限らず、常に疲れやすい ↓ 閉経(50歳前後) ※世界中の女性はこの年齢になると閉経することがデータで確認されています。

更年期の症状について

更年期障害の症状はさまざまで個人差があります。 年齢を重ねるにつれて、卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少します。同時期に脳下垂体から卵巣刺激ホルモンが過剰に出ることも自律神経失調の原因となり、心身に様々な症状が現れます。 また、更年期障害には心理的な要因も関わってくるので個人差が激しいのも特徴です。 日本人女性の更年期に見られる症状では、肩こりや疲れやすさ、頭痛、ホットフラッシュなどが多いとされています。

更年期のセルフチェック

以下のような症状に心当たりはありますか? 当てはまる症状があれば更年期障害かもしれません。 ①血管運動神経系の症状 ホットフラッシュ、発汗、動悸など ②運動器官に関する症状 肩こり、腰痛、しびれ、関節痛など ③泌尿器・生殖器系の症状 生理不順、尿失禁、性交痛など ④消化器系の症状 胸やけ、吐き気、下痢や便秘など ⑤皮膚に関する症状 かゆみ、湿疹、乾燥など ⑥精神に関する症状 めまい、不眠、不安感、イライラ感、うつなど

更年期・プレ更年期の原因は?

更年期障害が起きる原因には、性格などから由来する心理的なものから仕事や家庭環境といった社会的なものがありますが、最も大きな原因は、急激なホルモンの変化に身体がついていけないからであるといわれています。

更年期の身体の仕組み

女性が持っている卵胞の数は、年齢を重ねるにつれて減少していきます。 生まれたときは約200万ほどの卵胞を持っていますが、月経や加齢により、30代では1~3万個までに減少していきます。この急速に卵胞が減少する時期こそ「プレ更年期」であり、ほぼ消滅する時期が「閉経」にあたるといわれています。 そして、卵胞が急速に減少することで、卵胞や黄体から分泌される女性ホルモンも減少していきます。 通常、女性ホルモンの分泌は脳でコントロールされますが、卵巣の機能が低下したことにより、脳でのコントロールが上手くいかなくなります。それゆえに、自律神経の働きが乱れ、更年期障害を引き起こす一因となるのです。

更年期を軽くする方法について

ここでは辛い更年期症状を軽減させるための方法についてご紹介します。

食生活に気をつけましょう

女性の体は、更年期に入ると、エネルギー代謝が落ち肥満になりやすく、骨密度の低下で骨粗しょう症を引き起こすことがあります。 まずは、バランスのとれた食生活をしてみましょう。理想は和食の基本「一汁三菜」とすることです。 「一汁三菜」とは、日本人の主食であるご飯と汁物、3つの「菜(おかず)」を組み合わせた献立です。 特に、重要となるのは「三菜(おかず)」の選び方です。三菜の基本ルールとしては、主菜(1品)+副菜(2品)を組み合わせます。 主菜となるのは、魚や肉、卵、大豆製品など動物性・植物性タンパク質です。そして、副菜になるのは、緑黄色野菜やきのこなど食物繊維・ビタミン・ミネラルが含まれているものです。 タンパク質は筋肉、内臓、血液、皮膚など身体をつくるための主要な構成成分であり、ビタミンやミネラルは、タンパク質や脂質、糖質の分解や合成を助ける働きを持ち、健康維持には欠かせない栄養素です。したがって、異なる役割をもった栄養素が含まれるよう組み合わせることが重要です。 一方、食生活において、食物繊維・ビタミン・ミネラルを多く含む野菜は不足しがちです。 厚生労働省によると、1日の野菜摂取量は350g以上を目標としていています。 ちなみに350gとは、生野菜であれば両手で3杯、ゆで野菜であれば片手で3杯の量を指します。 献立を考えるときは、意識的に野菜をたくさん取りいれていきましょう。

適度な運動をしましょう

更年期女性に対する運動の効果を報告した研究では、閉経前の女性のランニング程度の運動が骨密度維持向上、筋トレが筋肉の向上、血中脂質、骨機能への効果があることが報告されています。 運動を行うことは、さまざまな疾病や健康状態のリスクを減らし、QOL向上に繋がります。普段は運動しない人でも中程度の運動を継続的に行うようになれば、健康状態の向上を図ることができます。 ウォーキングやジョギング、水中歩行、ヨガ、サイクリングなど適度な有酸素運動やスクワットや腹筋トレーニングなどのレジタンス運動をまずは週3~4日を目安に続けてみましょう。

アロマテラピーでケア

アロマテラピーとは、植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って、心身のトラブルを緩やかに回復させる自然療法のことです。 アロマテラピーが更年期障害の症状を和らげる理由としましては以下の通りです。 ①女性ホルモン様作用がある 精油の中には、ゼラニウムやローズオットー、クラリセージなど女性ホルモン様作用を持つと言われています。これらが鼻粘膜から脳に作用して、更年期症状を緩和してくれます。 ②自律神経を整える効果がある アロマテラピーには、香りをかいでリラックスすることで、脳の緊張状態をほぐし自律神経の乱れによる不調を改善できる効果が見られます。

まとめ

いかがだったでしょうか。更年期の症状や原因、更年期障害を軽くする方法の概要についてまとめてみました。更年期は女性なら誰にでも訪れるものですが、正しい知識を持ちながら対処することで自分らしい生活を送れます。 お悩みが多い項目ですので、WOMB LABOでは今後もテーマとして取り上げていきたいと思っています。

関連書籍はこちら
▷森田敦子著「自然ぐすり」
▷松峰寿美監修「50歳からの婦人科―こころとからだのセルフケア」

監修プロフィール

松峯 寿美(まつみね ひさみ)先生

松峯 寿美(まつみね ひさみ)先生

医師・医学博士。日本産婦人科学会専門医。東京・木場にある東峯婦人クリニック理事長。とくに不妊治療、思春期・更年期医療に力を注ぎ、女性専門外来の先駆けとなる。また、日本にまだ数少ない産前産後ケアセンター・東峯サライを開設。
著書に「50歳からの婦人科」「60歳からのセックスクリニック」等、様々なライフステージの女性たちの体の悩みに関する講演等でご活躍。

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