世界のフェムテック Vol.10
世界の女性たち|モンゴル編(前編)

最終更新 2023.05.26 by WOMB LABO編集部

Hello, Rachelです!

世界のフェムテック、第10回目のテーマは女性のエンパワーメント。

まえがき|完璧な女性なんていない

仕事、家事、育児の両立、妊娠、出産や介護とライフステージによって迎えるライフイベント。女性ホルモンの働きによって変化する心とからだ。皆さんはどう向き合っていますか?

人間は完璧ではありません。すべてをこなしているように見えて、実はバックに何人もサポートしてくれる人がいるのかもしれません。もしくは、「理想の5割でOK!」とセルフコントロールする訓練をプロから受けているのかもしれません。それぞれが自分の課題と向き合う中で、自分のやり方を見出せた時に初めて、その人にとっての「完璧」に出会うのかもしれません。

さて、昨年、グローバルコーチングプログラムに参加しました。そこには、世界中で活躍している女性たちが集まっていました。ここでは自己成長のため、向上心をもって日々取り組む女性たちがいました。どんなに優秀でも、どんなに素晴らしいキャリアを持っていようと、表に見えていないだけで、実は想像する以上に多くの女性が同じような課題を抱え、試行錯誤しながら日々努力していることを知りました。

良い状態の時だけではなく、弱い部分も見せながら、本音を共有すること。決してジャッジすることなくお互いをサポートし合えるコミュニティを持つことは、現代女性にとって、さまざまな課題を乗り越える上で賢い解決策の一つだと思います。特に日本は海外と比べ、個人のことを積極的にオープンに語るカルチャーではないため、なおさら必要なのかもしれません。わたしは、自分の弱さを見せられる女性たちから芯の強さを感じます。そういう強さを持ち、共に成長し合う姿勢の仲間と出会えたことに誇りを感じます。

さて、前置きが長くなりましたが、仕事を通じても芯の強さを持つ女性に出会いました。今回、お話を伺ったのは、モンゴルの女性。世界中の美容やフェムテック製品を展開する会社を経営されているスイートシークレット社のファウンダー兼CEOのディーナ バットトグトフさんです。2022年には、3人目のお子さんの出産を経験した直後に女性専用の婦人科・美容クリニックをオープンされています。一体どのようにして3人の子育てをしながら、やりたいことを実現してきたのでしょうか。

スイートシークレット社/ファウンダー兼CEO ディーナ バットトグトフさん
Ms. Davaalkham Battogtokh Sweet Secret LLC Founder and Chief executive officer

|起業までの道|

Q. ディーナさんが起業されるきっかけや起業に至るまでのお話をお聞かせください。

美容は若い頃から夢中になれるものの一つでした。もともと美容業界でキャリアを積んできたわけでありません。カリフォルニア州立大学で経済学とビジネスを学んだこともあり、経営に取り組んでいたこともあり、自分のなかでは長期的なビジョンとして、女性起業家になることを目指していました。新しい取り組み、そして、何か世の中に大きな影響を残すという考えにいつも魅力を感じていました。

インパクトを与えられるものはないかと、いくつもの展示会に足を運びました。その中で、デリケートゾーン専用のソープやウエットシート、潤滑剤など、フェミニンケアの商品を扱うウエットトラスト社と出会ったのが事のはじまりでした。当時は、フェミニンケア業界は未開拓で、特にモンゴルでは、他のアジア同様、デリケートゾーンのこと、ましてや性生活のことについてはオープンではありませんでした。Vagina(膣)という言葉を口にすることもできませんでした。フェミニンケア商品を紹介するのは不可能に近いというのが当時の印象でした。それでも、私が世の中に伝えたい事は、女性の健康、ウエルネスに必要不可欠なものと信じていました。ビジネスの経験も経歴もありませんでしたが、2016年、思い切って自分のビジネスをスタートしました。

|モンゴルの女性たちに受け入れてもらうために|

Q. モンゴルの女性たちはフェミニンケアについてどのように考えていますか?

現在、私たちのお店では、潤滑剤、デリケートゾーンケア製品、マタニティ製品と、女性のインナービューティーとセクシャルウエルネスをサポートする様々なアイテムを取り扱っています。

日本の女性と同じように、モンゴルの女性たちもセルフケアやウエルネスに興味関心があり、トレンドに敏感です。新しい製品やケア方法を積極的に試す人が多くいます。フェミニンケアを伝えはじめた当初は、ほとんどの女性がフェムテック製品は高級品だと考えていました。でも、歯を磨くことや顔を洗うのと同じようにデリケートゾーンをケアをすることは毎日のことです。最近は、多くのモンゴルの女性たちがフェミニンウォッシュやウェットティッシュを取り入れ、デリケートゾーンを清潔に保つことをしていますが、そこに縛られています。

わたしは、「なぜ女性は、体の中で最も重要な部分をケアしないのだろう」と自問しました。出産、セックス、そして最も重要な妊娠や出産によって腟に負担がかかり、ダメージを受けます。腟は女性の体の中でとても大切な部分です。しかし、正しい知識を知らないためにケアができないということに気づきました。これでは自分の健康は守れません。私は、女性の健康は、正しいフェミニンケアからだと強く信じています。この状況をなんとかしたい!そういう気持ちで立ち上がりました。

後半へ続く

著者プロフィール

Rachel Tamiya

Rachel Tamiya

フェミニンケア・女性のウエルネスケア業界で海外営業企画を担当。
学生時代、新社会人時代とアメリカで過ごす。コロナ禍前は1年に11か国と仕事やプライベートで海外渡航することも。
自身の海外体験を通し、世界のフェムテック事情やフェムテック経験談を取材、独自の観点から紹介する。

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