最終更新 2024.02.08 by WOMB LABO編集部
Salut(こんにちは)! べランジェール・アルナールです。
今回は、【年齢におけるセクシャリティについて】のお話をさせていただきます。
もくじ
それぞれの年齢に起こる女性のセクシャリティ困難、改善法は?
女性の7人に1人はセクシャリティ困難(性的困難)に苦しんでいます。女性の約25%はオーガズムを得た経験がなく、女性は性欲が常にあるわけではありませんが、約5%は性欲が完全に欠如しているという結果があります。
また、女性の3人に1人は「自発的性欲(自発的に性欲が湧く)」を持たず、前戯の後に性欲が覚醒して興奮が始まります。これは「反応的性欲(何かの刺激をきっかけに性欲が湧く)」と呼ばれ、女性の約30%(男性はわずか約5%)が該当。約半数の女性たちは自発的、反応的の2つの性欲の狭間にあり、状況に応じて性欲旺盛と性欲不振の間を行き来します。
性欲がどう反応するかはホルモンの状況や、感傷的失望、性経験、教育、性的暴力など、個人的な人生経験も影響しています。さらに女性の地位と社会におけるセクシャリティの歴史とも関係、女性の性欲はとても複雑なのです。
思春期の女の子の場合、男女の関係はロマンスが優先されます。セクシャリティがより進んでいくと、「自分が大切にされ、望まれている」と感じることが重要になります。女性はセクシャリティと感情を切り離せないケースも多く、セックスをしたいと思うためには、恋をしていることが必要。約84%の女性は、パートナーに求められていると感じたときに性欲が高まるのです。
女性たちのなかには、男性の“たくましさ”に気分が高揚することを好み、必ずしも2時間の長い前戯やロマンチックなムードを必要としない女性もいます。カップルであることにこだわらず、愛がなくても、コミットメントなしでの快楽の探究を満たすためにセックスだけへの深い欲望を持っている女性たちです。
女性のセクシャリティ困難の種
セクシャリティ困難には、欲求障害、性欲覚醒障害、オルガスム障害、性交痛の4タイプがあります。
- 欲求障害
性的な思考・夢・空想がない(あるいは、ある)性欲の欠如、または減少。パートナー、またはすべての人との性的接触に対する嫌悪感。
- 性的覚醒障害
永続的な性的不能。再発性の性的不能(外陰部、および膣の潤滑液によって現れる刺激後の性的興奮の状態の達成、またはそれらを維持することができない※刺激の種類に関係なく)。
- オーガズムの障害
オーガズムの遅延。オーガズムの欠如[無オルガスム](外陰部、及び膣の潤滑液によって明らかにされる性的興奮にも関わらず、感覚が著しく低下している)。
- 性交痛
性交困難、外陰部、膣レベルでの持続性、および再発性の性交痛。挿入中、または性交中(勃起したペニス、性的オブジェの膣挿入)に強い痛みを感じる。 膣痙攣。持続的かつ反復的なセクシャリティ困難で、膣への挿入の可能性を妨げる不随意の筋肉収縮 の引き金に関連(婦人科検査中の膣鏡、指、勃起したペニス、性的オブジェの挿入)。
セクシャリティ困難が起こる頻度や条件は、性行為の度、ときどき、状況に応じて、特定の場合のみ、特定のパートナーのみと様々です。
年齢とセクシャリティ困難はあまり関係ない
セクシャリティは必ずしも年齢とともに減少するのではなく、変化していきます。身体的な特徴や生殖器の機能などは時間の経過に伴い変化しますが、=セクシャリティの終わりではありません。
調べによると、60〜69歳の女性の65%、70〜79歳の女性の37%が、自分にセクシャリティがあると回答。60〜69歳の女性の23%、70〜79歳の女性の24%が、週1回セックスをしていると答えています。
セクシャリティ困難においては、50〜59歳の女性では快楽障害が27%→21%、性欲減退は32%→27%、性交痛は21%→8%へと減少。40%が自慰行為を続け、71%が性的な空想を伴う性的欲求を持ち続けることがわかりました。
高齢者の充実したセクシャリティは、癌や心血管疾患に対する保護要因にもなります。
80歳を過ぎると聴覚、嗅覚、視力の低下とともに、自然な感覚が鈍くなります。性的刺激の知覚や反応、興奮、オーガズムの遅延などが起こりますが、これは年齢によるもの。セクシャリティ困難ではなく、正常です。
※年齢に関係なくセクシャリティのない、またはセクシャリティが鈍いからといって、異常と判断をしないでください。アセクシャル(無性愛)は正常とみなされるべきです。
高齢者の充実したセクシャリティは、癌や血管疾患に対する保護要因にも繋がります。
最高の治療法は「愛」
セクシャリティ困難の理解において、重要なのは年齢ではありません。
オーストラリアの研究によると、女性の性生活の質に最も影響を与える要因は、性的に望まれていると感じること、そして愛されていると感じることとされています。
セクシャリティに限らず、困難を克服する最高の治療法は「愛」。パートナーが私たちに抱いている愛と求める気持ちは、自己愛、性への興味、パートナーへの愛情や性欲、そして心身ともに健やかな毎日をもたらします。
次回は、【セクシャリティ困難に直面したら?】についてお話しします。
Au revoir!(さようなら!)
著者プロフィール
Dr. Berengere-Arnal
ベランジェール=アルナール
医師・医学博士
パリ第13大学医薬学部 元教授
婦人科専門医