【第3回】デリケートゾーンと呼ばれる外性器とオーガズムの仕組み

森田敦子(以下、森田)今日は外性器とオーガズムについてお話をしていきたいと思います。まあね、今日も東峯婦人クリニックの松峯寿美先生とお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

松峯寿美先生(以下、松峯)はい、よろしくお願いします。

森田前回まで先生あの成熟期というその長い期間、18歳から40代半ばというところで、どんな暮らし方あるいはどんなケアをすることで、今後、その後に来る中高年期っていうところに大きな影響がある、どんな風に暮らしたらいいのかってところをお話しさせていただいたんですけれども、まず一番先生が考えるそこのポイントっていうのはどうでしょう?

松峯そうですね。あの成熟期というのは18歳から48歳までの30年間。この30年間に従来は妊娠とか出産したり、1人産むか生まないか?産んだりする人は5人とか10人とか産んで、そういう時代を過ごします。昔はまあ戦前はですね、大体その辺りで、50歳でも人生が終わりだったんですね。

森田そうなんですね。この世にないですよね。

松峯私もいないんです、本来は。最近は60になっても死なない、70になっても死なない、80、90、100歳になっても死なないから、その100歳までの間をいかに元気で楽しく暮らさなきゃいけないかということが大きな課題になってます。そこを上手に暮らして、そして素晴らしい中高年期に入っていただきたいんですね。

森田そうですね、やっぱり長いですもんね。この成熟期は。

松峯ところがそうであってほしいんですが、体はやはり加齢というのがあるんですね。どうしても長く生きてると加齢が来ます。女性の場合には一番の加齢の特徴がその更年期ということで、ホルモンがだんだんだんだん少なくなって減ってきちゃうんです。それは卵巣から出るホルモンなんですけど、これはもう逆らえない。作ってくれないの、ホルモンを。ですから、やむなく卵巣が働いてこなくなって、一番それが顕著にわかるのが月経です。毎月毎月ちゃんときていた月経が、あら、2〜3ヶ月飛んだわねというふうに月経不順になり、ホルモンが出なくなってくるなっていうことを実感します。ホルモンが出なくなることを実感すると、一番わかりやすいのは肌の衰えですね。

弾力があった肌が少ししわになってきたり、できても新陳代謝がよかった成熟期にはあら、これシミが出ている、あ、でも今月はこの間のがなくなったとターンオーバーして消えているんです。ところが更年期、中高年になってくると、ずーっとコケのようになってくる、そういう新陳代謝が低下してくるというのが1つのサインです。

森田そうですね、先生もね、本に書いてあったので、女性ホルモンの衰えてくるから、その分、より衰えてくる筋肉や肌や骨を鍛えておくといいのよって書いてあったので、骨盤底筋のその状態もだんだんと鍛えることが大事だって書いてありましたけど。

松峯だから体中はその時に初めて、女性の体は女性ホルモンにこんなに頼っていたんだな。皮膚も骨も筋肉も髪の毛も全て女性ホルモンに頼っていたんですよ。ですから、あの女性ホルモンが出なくなったら筋肉が衰えます。その筋肉も骨ももちろん、骨粗鬆症とかありますね。筋肉ももちろん衰えますね。

体全身筋肉でできてますから、私たちの方が体も疲れやすくなったり、あの関節も痛くなったり、いろんな症状が出るんですけれども、筋肉の衰えはもちろん、外性器の骨盤底筋にも現れます。特に出産したりすると、骨盤底筋を思いがけなく思いっきり伸ばして、そしてそれが伸び切って、パンツのゴミじゃないですけど、伸びきってちぎれちゃって、それっきりって回復しない人だってもちろんいます。

森田あー、そっか。それは怖いですね。

松峯怖いですよ。だから尿漏れになったり、子宮下垂になったりするんです。だから、私の最近思ってることは、産後ですね、出産した後、これこそが一番大切な女性にとってね、大切な時期じゃないかと。

森田私のパリ13大学は医薬学部といって植物療法っていうのはその植物、薬草ハーブの機能性のものを飲む、あるいは舌下というのがあって塗る、そしてアロマテラピー、香る、これをあの科学的に使っていくんですけれども、セクシャリティとセックスというコミュニケーションがあって、その女性の体の仕組みの中にはオーガズムという快感を得るという仕組みがきちっとあって、陰核(クリトリス)と言われる臓器があってということを大学で学び、なぜそういった快感が重要なのか、

そしてもちろん出産の後のケアをフィトテラピーで行うっていうのは大事なので、これから先生と産前産後の講義を、秋ぐらいからフィトセラピースクールでやっていきたいと思っているんですが、どうしてその外性器の中には感じる仕組みっていうものがあるのかってことを学んで本当に驚いたんですけれども、今日はそれも先生にお聞きしたくて。

松峯そうですね。外性器だけじゃなくて内性器といって、子宮とか卵巣もあるんですけど、その子宮が回復する。そういう産後の退行変性っていいます。元の体に戻ろうとする力、これが子宮とか。その腟の周りは退行変性が起きます。また逆に産後はもう1つの進行的な変性があるんですね。さっきのは後ろへ下がっていく。もう1つは前に向かっていくのがおっぱいなんです。どんどん乳汁を出して、育てていかなきゃいけない、母乳で赤ちゃんを育てていかなきゃいけないので、退行変性と進行的な変性と両方あるんです。産後はね。それを両方やりながらやっていくという。

また、これも素晴らしいフェムテックだと思います。それで産後の1番大事な母乳を出して育児をするというのと同時に、自分の体が元の体に戻っていくというという、その戻っていくところにフィトセラピーを用いながら戻っていく、そのときに骨盤の筋肉が一番大切なんですね。この時にそれをおろそかにする人は将来、10年後20年後の50歳になったり、60歳になったりした時に、尿漏れとか、思いがけない時に尿が失禁してしまうとか、便失禁もありますが、ひどい場合は子宮が出てきてしまう、下がってしまう。どうしてこんなことになったのかしら、そういえば20年前のあの時の話、出産の後が不養生だったんだなってその時に分かるわけです。

森田そうですね、外性器、いわゆる皆さん結構分かりやすい言葉ではデリケートゾーンという言葉を使う方たちもいますけれども、簡単にね、けれども、そのケアってものもね、もうものすごく大事ってことですね。

松峯確かに大事にケアをして、優しくケアをして100年間、大事におしっこしたり、うんちしたりする時に持ってほしい、持たせたい。そういう場所ですね。

森田そうですよね。あの先生、その外性器の中のそのクリトリス、陰核といわれている、表面上は小さな突起しかない、セクソロジーではすごく勉強して私がとても驚いた部分なんですけど。

松峯この本当にこの先しかない、ちょっと模型があって、大陰唇があって小陰唇があって、ここに腟口があって、ここにクリトリスがあって、本当はこんなふうに大きくある、これはやはり人間の特に女性の体の1つの大きなフェムテックなのよって、その感じる、オーガズムを得るってことは、とても大切なのですよってことを勉強してきたんですけど、それは日本にはまだなかったんですね。24年前に帰ってきたとき。だけど、40年前、先生の本には大切さが書いてあったんですよ。先生、ここはやっぱり女性のフェムテック、テクノロジーのひとつとしてどういうふうに捉えて皆さんに伝えていたらいいでしょう?

外性器だからとても大事で、上手に扱ってほしい。そして特に成熟期ではなく中高年になりますとね、もっと大事なんですけれども、女性ホルモンが足りなくなると傷つきやすかったり、擦れたりして血が出やすかったり。

森田乾燥しやすいってことですか?

松峯乾燥しやすいんです。ですから、ある程度の湿度を持たせてから、少しオイリーな皮膚にしておかないと傷つきやすいということで、ケアがものすごくこれから大事になってくる。

森田そうですよね。恥垢っていう、その頭皮とかお顔とか脇とかとまた全然違う恥垢という垢がやっぱりpHが低いとか弱酸性だけじゃなくて、専用のもので柔らかく落としてあげてその後ちゃんと大陰唇のあたりをしっかり保湿してあげたり、それから年を取ってくると、乾燥したりあるいは萎縮しがちだったりするので、専用のオイルマッサージをしてあげることが大切なのよ、っていう風に先生方に教わったんですけど。

松峯そう思いますよ。特にね。高年になるとね、私はセックスから離れるから、そんなところはもうおしっこだけ出ればいいとかって思っている人がたくさんいると思いますけど、その頃の方がむしろ大切だと思います、いまおっしゃっているケアが。

どうしても女性ホルモンが出なくなると、この外性器のところには、皮脂の分泌が減ってくるんです。乾燥するんです。皮膚が乾燥するとひび割れてくる。ひび割れてくると血が滲んでるんですよ。血が滲んでくることは、逆に今度おしっこが飛んだ時に、そのひび割れにおしっこが入ってくる。それが乾燥して臭ったりして、もう本当にミゼラブルな状態になるから、介護していただく本人もいやでしょうけど、介護する方も大変な苦労なさると思うので、やっぱりあの大事なケアだと思いますよ。

森田そうですよね。あのきちっとした性能のもので洗ってあげることと、保湿をしてあげること、そのあとでオイルのマッサージをただ肌だけではなくて、お顔だけじゃなくて、外性器は柔らかくオイルマッサージで乾燥を防げますよね。

松峯その通りですね。

森田もう1つ、クリトリスと言われる部分でその快感を得るってことはとても大切なことだっていうことを勉強してきて、よくその食べること、しっかり食べて、私たちの体というのは食べ物でできている。

松峯あ〜美味しいってね。

森田その穀物や果物や野菜や、大方結構植物が多いんですけれども、そして飲む水で、体を作る眠り・睡眠、これといわゆる性欲・セクシャリティというか、で、その中でも女性の陰核、いわゆるクリトリスというものが、しっかりと海綿が陰核客、前庭球っていうんですが、摩擦があって感じるようになってくると少し血流がよくなって

松峯静脈瘤ができるんです。男性のペニスも性感を感じると太くなって勃起してくるでしょ?それと同じことが、全く同じ現象が、女性にも起きてるんです。

森田起きてるんですね。奥の方にね。本を何冊か書かせてもらった時に、たくさんの方から快感を感じることに罪悪感を感じる、ものすごくひわいな自分を卑下してしまうような感覚で、ってよく泣かれる女性たちがいるんですけど、そんなことないですよね。

あの、オーガズムっていうのは、クリトリスっていうのは臓器の名前ですよって、ヨーロッパでは、そして快感を得るということはすごく大切で、だからパートナーがいない時には、あのバイブレーターっていう、元々ヨーロッパのドクター達が作られたもので、そしてちょっと置いといてあげると、すごく振動を起こして、平均10分〜15分くらいで、感じていく。そして感じてくると、しっかりとパンパンに海綿体が大きくなってくることによって、快感を得る。

松峯その膨隆してくるということは、刺激の面積が増えるということ。摩擦の面積が増えて血流がよくなるというひとつメカニズムと、もうひとつメカニズムがあって、腟のまわりの筋肉が収縮するんです。これは腟の筋肉は、ほらあなた収縮させてごらんなさいっていうと、できる筋肉があるんですよ。それを随意筋と言うんですけど、自分の思うがままに収縮させる筋、それと同時にですね、腟のまわりにはもうひとつ筋肉があって不随意筋、これは自分では気づかないし、自分では収縮させることのできない筋だけど、そのマスタベーションでも本物のセックスでも、その最中にですね、感じる快感によって不随意筋が収縮するんです。

森田その現象っていうのは女性の体の中では大事なことってことですか?

松峯大事なことだと思いますよ。私たちが耳で聞いていい音楽を聞いて、あー気持ちいい、目で見て美しい絵をみたり美しいものを見たりしたら素敵素敵、匂いを嗅いで素敵なアロマね、あー気持ちいい、これも気持ちいい。おいしいものを食べても味覚が刺激されて、あー美味しい。気持ちいい。マッサージされると触られただけで気持ちいい。この気持ちいいという感覚のもう一つがセックスによる快感だと思いますよ。せっかく備わっているこの快感を使わないで一生を終わったらもったいないと思います。

森田そうですよね。今回、WOMB LABOという子宮のラボというラボをホームページ上で出していくときに、バイブレーター、本当に可愛らしいものからいろんなものがあって、女性のために構築されたものから、女性をゆるめられるような、ゆるめて快感が得られるようなものも出していくんですが、今回伊勢丹新宿店で、フェムテックイベントというのをしたんですが、バイブレーターをみんなしっかり勉強してくださると、当たり前に購入してくださったりして、悪いこととかじゃない。

松峯買っていただいて素晴らしいと思いますから、オーガズムを感じるということが大事です。

森田やっぱりいままでママも娘たちに伝えてこれなかったけれども、これからはそういうテクノロジーが体の中に、フェムテックの本当のポイントとなるようなテクノロジーの 1 つとなるので、まあ、自分の女性性の肯定っていうことも含めて、大事にしてほしいなっていう風に思うんですけど。

松峯もう1つあるんですよ。快感を得て筋肉を鍛えるということは、先ほどもお話ししたように尿漏れとかね、そんなのに予防になるんですよ。

森田やっぱりそうですね。じゃあ尿漏れとか骨盤底筋の鍛えることにもなるんですか?

松峯そうです。だから決してもう、こんなものとか恥ずかしいとか、そうじゃなくて、「私、将来のために鍛えてるの」っていう、鍛える場所がそこだったっていう。

森田本当ですね。バイブレーターも例えば腟がね、緩んでしまう、年齢と共に緩んでしまったりするため、そのために腟ボールがあったり、それから月経カップがあったり、そのテクノロジー、外から来る 1 つの物として、ナプキンやショーツも含めてサニタリーショーツも含めて新しいものをね。

松峯使いこなさないとダメですね。自分の体を目覚めさせる。外から与えてもらうものを使いこなす。そして100年まで生きないと。

森田そうですね。ってことはやはり、きちっとクリトリスのことも含め、女性の体の内側にあるフェムテック、いわゆるテクノロジーを理解して勉強をして、そしてちょっとした不調には使いこなし、あーこれはっていう時にはきちっとマイ婦人科の先生を持っておくという言い方は失礼ですけども、やっぱり何かあったら

松峯こき使ってください。

森田わたしも何かあったら先生のところにすぐ行ってしまいますけど、そういう安心感っていうのもありますね。

松峯そうです、そうです、それが大事です。

森田今日はちょっとね。腟周り、外性器とオーガズムの仕組みっていうのも、知らない方がたくさんいて、やっぱり大切なことだったので、今日はあの松峯先生からお伝えいただきましたけど、今日何かこれを見てくださってる100年時代のフェムテック、いわゆる、これから美しく健康でいく女性たちに先生、何かメッセージを頂けたら。

松峯そうですね。フェムテックの時代が来ました。ですから、自分の本来の体のフェムテックを十分目覚めさせること。そして今、周りが作り上げてくださっているフェムテックを十分使いこなすこと、そして楽しく100歳まで続けられるといいなと思っています。

森田はい、今日は本当にありがとうございました。

松峯ありがとうございました。

プロフィール紹介

森田敦子

森田敦子(もりた あつこ)

日本における植物療法の第一人者。株式会社サンルイ・インターナッショナル代表。客室乗務員時代に植物療法に出会い劇的に改善後、渡仏。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を本格的に学び、帰国後、植物療法に基づいた知見を社会に提供するため、デリケートゾーン&パーツケアブランド「アンティーム オーガニック」の処方・開発や、「ルボア フィトテラピースクール」を主宰。2020年、女性の一生をサポートするためのトータルライフケアブランド「Waphyto」を立ち上げる。
私生活でも42歳で自然妊娠・出産。著書「潤うからだ」他多数。

松峯寿美

松峯寿美(まつみね ひさみ)先生

医師・医学博士。日本産婦人科学会専門医。東京・木場にある東峯婦人クリニック理事長。とくに不妊治療、思春期・更年期医療に力を注ぎ、女性専門外来の先駆けとなる。また、日本にまだ数少ない産前産後ケアセンター・東峯サライを開設。著書に「50歳からの婦人科」や「60歳からのセックスクリニック」等、様々なライフステージの女性たちの体の悩みに関する講演等でご活躍。

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