#01 今こそ正しい性教育のとき

最終更新 2024.06.30 by WOMB LABO編集部

初めまして、植物療法士の柏木春香(かしわぎはるか)です。

これから「性」という、生きる上での大きなテーマ、そしてこれからの世代に向けての性教育についてお話をしていきます。

近年フェムテックという言葉を聞く機会が格段に増えましたね。デリケートゾーンのケアといえば、やっているよという方も多いのではないでしょうか。では、性についてはどうでしょう?自身の性について、セックスについて、きちんとした知識はありますか?そしてそれを次の世代に伝えていけますか?

 

「赤ちゃんってどこから来るの?」に答えられない性教育

お子さんからこんな質問を投げかけられた経験、ありませんか?好奇心に満ちた子どもたちは、純粋な疑問から、大人が返答に困ってしまうような様々なことを尋ねてきます。その中でも特に返答に困ってしまうのが「性」にまつわるお話ではないでしょうか。セックスってなに?なんて聞かれたらどうしていいかわからない!という方も多いのではないでしょうか。そして、そんな質問を唐突に投げかけられた時、なんと答えますか?我が家には8歳の息子と5歳の娘がいますが、うーん何と答えようか?と悩んでしまうような質問を投げかけられることが多々有ります。そしてその度、どこまで話せばいいんだっけ・・と悩んできました。

私たち大人が学校で受けてきた性教育を思い出してみてください。男女が別々の部屋に分けられ、体の作りや月経なんかの仕組みを簡単に学ぶだけ。性器の細かい作りや、セックスについて、具体的な避妊方法などを教えてくれる場所ではありませんでした。そして数十年経った今でもなお、教育現場では唐突に精子と卵子が出会って赤ちゃんになっていく摩訶不思議ストーリーが繰り広げられているのです。

 

2023年、文部科学省が子どもたちを性犯罪や性暴力から守ろうという目的のもと「生命の安全教育」を本格始動しました。SNSやマッチングアプリの普及などもあり、子どもが思いがけず性犯罪に遭ってしまうリスクは格段に増えていると言えるでしょう。

そういった状況下で、性被害に遭わない、性加害者にならないための、より踏み込んだ教育をしようという試みです。ところが、性にスポットライトを当てているにも関わらず、核となる「セックスとはなんぞや」という具体的な話については触れられていません。つまり、子どもたちはこれから自分たちの身に一体どんなことが待ち受けているのかを知らないまま、そして、どうすれば自分の体と心を正しく守っていけるのかという肝心な部分が曖昧なまま、性犯罪や性暴力について学ぶという、チグハグな状況になってしまっているのです。

大人ですら動揺してしまうようなことが将来子どもたちの身に突如降りかかったとして、果たして冷静に対処できるでしょうか?

答えはノーでしょう。性にまつわる正しい知識がない上に、コソコソとした雰囲気の中での性教育を受けてきた弊害として、性に関する疑問や悩みを声に出していうことができなくなってしまう。そうすると子どもたちは自分一人で対処するしかなくなってしまいますよね。

「性はあって当たり前の存在」

しかし「性」というのは全ての人が持って生まれたもの。いやらしいことでも、恥ずかしいことでもなく、当たり前にそこにあるものです。そして、どんなセクシュアリティ(=性のあり方)であろうと、否定されたり批判されたりすることなく認められるべきであり、ひとりひとりの持つ素晴らしい個性であるということ。

人の三大欲求には食欲、睡眠欲と並んで性欲がありますが、三大欲求は生存にかかわる根源的な欲求とされています。つまり、人間が健康に生きるために、食欲や睡眠欲と同じように沸き起こる性欲は満たす必要があるということです。また三大欲求がきちんとあるというのは、健康な証でもあります。日本社会では性欲があること=はしたないことであるかのような風潮がありますが、例えばヨーロッパでは、カップルの間でセックスがあるというのは当たり前のこととして捉えられています。

恥ずかしがったり、隠したりする必要は全くないのに、今の日本の性教育では、セクシュアリティを認めることもなく、ましてや触れてはならぬことのように扱い続けることで、性というものに蓋がされてしまっているような状態になってしまいます。そうなってしまうと、性というものが自分にとって遠い存在になってしまったまま、大人への道を辿ることになりますね。

AV大国日本?

さて、日本がアダルトビデオ大国なのはご存じでしょうか?誰もが当たり前にインターネットを使えるようになった今、性に興味が出てきた子どもたちは、簡単にアダルトビデオにアクセスできてしまいます。しかしアダルトビデオの中で繰り広げられる性行為は、お互いを思いやる行為とはかけ離れたものも多く、セックス=激しいピストン運動といった誤ったイメージを抱きがちです。未熟な子どもたちが、まともに自分や異性の体のことを知らないままにファンタジーなアダルトビデオから望ましくない知識を得てしまうと、その先に一体どのようなことが起こってしまうと思いますか?

 

男性側はアダルトビデオから得た知識を総動員するものの、女性は気持ち良さを感じられないどころか痛みを感じてしまったり、良かれと思って感じているフリをしてしまったり。それでも「性の話をするなんてはしたない」という空気感から、どうすればお互いが気持ち良くなれるかという前向きな話すらできず、性に対してますます後ろ向きになっていってしまう、そしてセックスレスになるなんて方も少なくないでしょう。

もっと自分の心と体を認めよう

セクシュアリティは生涯切っても切り離せるものではありません。そして良いことも悪いことも含め様々な性体験が、生涯に渡り、一個人の人生に大きな影響を及ぼすということも、想像していただくとお分かりいただけるのではないでしょうか。セクシュアリティを前向きに捉えられるようになるためには、性に対する間違った意識が芽生える前から、セクシュアリティについて正しく知り、考え、向き合っていくことが大切なのではないでしょうか。当たり前のこととして知り、受け入れる。そうすることが、子どもと親の信頼関係に繋がったり、良好なパートナーシップを築けたりと、豊かな人生に向けての大きな手助けになることでしょう。

 

 

さて今回は、日本における性のいま、そしてセクシュアリティの大切さなどについて触れてきました。長い人生を健康に豊かに生きるために、今一度性について学び、見直していくことは非常に重要。

そしてそれは、これから様々な性の世界に飛び込んでゆく子どもたちにとって欠かせないことでしょう。

しかし日本の性教育を受けてきた方の中には、性に関する十分な知識がなかったり、性の話に抵抗があったりする方もいらっしゃると思います。いつ話せばいいの?どうやって切り出せば良いの?質問されたらどう答えよう?など、考えれば考えるほど不安なんていう方もいるのではないでしょうか。

 

次回は、「実際にどのように子どもに伝えたら良いのか?」についてお話しをしていきます。

 

著者プロフィール

柏木春香(かしわぎはるか)

AMPP(フランス植物療法普及医学協会)認定メディカルフィトテラピスト

福岡生まれ。産後の不調を機に漢方やハーブの素晴らしさを知り、植物療法の世界に入る。現在は植物療法コンサルテーションやハーブのブレンドを行うかたわら、SNSを通じて植物療法のこと、健康やセクシュアリティの大切さを伝えている。instagram:mul.phyto

 

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