最終更新 2022.07.01 by WOMB LABO編集部
セクシュアル・ウェルネスブランドSmile Makersの裏側を独占取材!
WOMB LABOで取り扱っているSmile Makersは、女性のからだの解剖学に基づいて設計されたバイブレーターが揃い、米国をはじめ全24ヶ国で販売されているセクシュアル・ウェルネスブランドです。一体どんな人が、どんな想いで作ったのでしょう。創業者のマティアス氏にお話をお伺いしました。
WOMB LABO編集部:
Smile Makersという、とてもハッピーな名前が印象的ですが、由来は何ですか?
マティアス氏:
名前の由来は、美しさとは笑顔(Smile)からはじまるという、私たちの信念からきています。実はSmile Makersの創業者とデザイナー達は、ラグジュアリービューティーブランドに携わっていたんです。この経験を通して、わたしたちは、高級コスメやファッションアイテムを身に付けることはできても、心底幸せで、健康でなければ、本当の意味の幸せではないということに気が付きました。真の美しさは内面から生まれ、笑顔は自分を輝かせるもの。自分自身を理解することで、健康で幸せで、充実した生活になると思っています。
WOMB LABO編集部:
創業者のマティアスさんは男性ですが、なぜ女性用バイブレーターを作ろうと思ったのでしょうか?
マティアス氏:
Smile Makersの創業者2人は男性ですが、ブランドづくりや製品開発に携わる人の75%以上は女性なんです。一番重要なのは、彼女たちの意見です。
創業当時の女性向けのセクシュアル・ウェルネス製品のデザインや販売方法は、決して魅力的ではないと、気付いたことから始まりました。セクシュアリティを健全なものとしてではなく、センセーショナルに取り上げていたのです。
創業者である私とペダーの二人とも、強い自立した女性に囲まれて育ちました。特別外交的であったり、自信があるわけではなく、自分の意見や、正しいことを主張できる女性たちです。私たちは、身近にいる女性たちに受け入れられるデザインや販売方法で、ブランドを作ろうと決めました。どこで生産・販売し、どのようなデザインで、どのような言葉を使うかといった基本は、自分たちの母親に安心して見せられるか。ということにあります。また、私の妻は日本人で、率直さもありつつ不快感を与えないようにするには、何が正しいのか、相談できる重要な存在であり続けてくれています。私たちは、女性のセクシュアル・ウェルネスに対する認識を正常化することをミッションとし、その使命を果たすため、女性が笑顔になるような仕組みを作っています。
WOMB LABO編集部:
女性用バイブレーターを作る上で、大変だったことはありますか?
マティアス氏:
私たちのからだは、人によって形や大きさ、感じ方も大きく違い、それがまた個性でもあります。できるだけ多くの人にしっかりと機能するものをつくるのは、とても大変で挑戦的なことです。
見た目は良いのに機能しないバイブレーターをたくさん見てきたので、美しい見た目でありつつ、解剖学的・人間工学的な観点から、できるだけ多くの女性たちに機能するデザインにすることを意識しました。
WOMB LABO編集部:
Smile Makersは、形や仕様がユニークで、何よりこの色合いが、他社にはなく、とても素敵だなと感じています。ポップな色合いにしたのは、どのような理由がありますか?
マティアス氏:
色選びは、2つのことを意識しています。まず、クロモセラピー(色彩療法)。クロモセラピーとは、色彩が人間の生理的な健康状態に影響を与えるもので、興奮させたり、落ち着かせたり、エネルギーを感じさせるのは、色によって異なります。ユーザーにどう感じてもらいたいかを考え、プレジャーアイテムの機能と色に一貫性を持たせるようにしています。
2つ目は、製品の名前と色を統一化しました。Firefighterは赤。The French Loverはブルー(Le Bleuから)、The Surferは夕日のようなオレンジ、The Romanticはより深いルビーレッド、という具合です。
以上のように、製品のデザイン、色、機能性、そしてパッケージに一貫性を持たせ、期待に応えることを心掛けています。
WOMB LABO編集部:
Smile Makersは、シンガポールが発祥の地ですが、デビュー当時のシンガポール女性たちの反応はいかがでしたか?
マティアス氏:
シンガポールの女性たちからは、「とても親しみやすい」「日用品と一緒に普通の場所で購入できるのがありがたい」という声をいただきました。さらに、病院やクリニック、大学、NGOなどから、健康や性教育など、女性に関するさまざまな問題についての教育や議論を一緒に進めたい!と声を掛けていただき、発売と同時に一面トップで報道され、アイテムが完売しました。小売店からは「Newcomer of the year Award」を受賞し、政府からはビジネス拡大のための特別な奨励金をいただきました。シンガポール、マレーシア、台湾、香港など、アジア全体では、とてもポジティブに受け止められています。
現在、私たちは、女性ホルモンの変化がセクシュアルヘルスに影響を与えることを教育する国立大学をはじめ、シンガポール国立大学の性教育を推進する団体、婦人科がん財団など、さまざまなパートナーと連携しています。多くのシンガポール人女性から、製品を提供するだけでなく、これまでオープンに語られることのなかった、セクシュアルヘルスについて話すきっかけになっているとの声をいただいています。
ISETAN Singaporeでの展開
WOMB LABO編集部:
現在24ヶ国で販売されていますが、世界の女性たちの性に対する考え方がどのように変化し、プレジャーアイテムが受け入れられるようになってきたと思いますか?
マティアス氏:
私たちは、発売前に世界中で調査を実施しました。たとえば、女性がセクシュアルウエルネスの重要性をどのように捉えているか、プレジャーアイテムの購入や使用についてどう考えているか、そしてプレジャーポジティブの性教育が満足感に役立つのか、などです。調査の結果わかったのは、多くの女性は、バイブレーターに興味を持っていると批判されると思っています。しかし、実際に使っている、または、使ってみたいと思っている女性が圧倒的に多いです。また、バイブレーターを肯定的に、そして中立的にとらえている人は、私たちが調査したどの地域でも90%を超えています。私たちは、この統計をみることで、より普通のことだとわかりますし、友人とこの話題について話すことに抵抗がなくなります。
今では、デリケートゾーンケア用品や生理用品と、セクシュアル・ウェルネス用品が並んで販売されることは、自然なことになりつつありますが、2012年に私たちが製品の販売を始めた当初は、なかなか売れず、私たちのことをクレイジーだと思う人も多かったんです。この10年間で、世間の考え方すべてが変わったというわけではありませんが、よりオープンに話し合えるように、サポートをしてきました。それができたのは、親しみやすいデザインに加え、解剖学に基づいて設計された機能のおかげだと思っています。
WOMB LABO編集部:
国ごとの反応・受け入れ方の違いがあったと思いますが、印象に残っている国や、エピソードはありますか?
また、人気のバイブレーターは、国ごとに違いがありますか?
マティアス氏:
世界中で調査を行った結果「sexual wellbeing(セックスから得られる幸福感)は、からだや気持ちが健康であるために大切」「適切な性教育を受けていないと感じている」など、国や文化の違いに関わらず、その結果は驚くほど似ていて、共通点が多いということに気付きました。
一番驚いたのは、アジアで歓迎されたことです。まず、私たちの故郷でもある、スウェーデン、ノルウェー、デンマークのあるスカンジナビア諸国で立ち上げ、そこから広げていこうと考えていましたが、実際には、アジア全域で販売をスタートしました。
どのバイブレーターが人気があるかという点では、国や文化によって違いがあるとは思いません。どちらかと言えば、女性の快楽について深く理解しているという人とあまり知らないという人の間に違いがでていると言えるでしょう。具体的には、映画や動画等では、セックスは挿入する行為としてとらえがちですが、実際は70%以上の女性が、挿入型のセックスではなく、外部からの刺激によってオーガズムを得ているのです。快楽について深く理解している人は、外部用のバイブレーターを選ぶのに対し、あまり知らない人は、内部を刺激するペニス型を選ぶ傾向にあります。
WOMB LABO編集部:
ウーマンズプレジャーや性に対して、日本の女性たちに伝えたいことはありますか?
マティアス氏:
私が期待するのは、これまでの10年間世界中で起こったように、日本でもセクシャルウエルネスの重要性に対して、もっと受け入れられるようになることです。そうすることで、日本の女性は、充実した性生活を送るための情報を得たり、必要であれば製品を購入することができるようになります。
昔からタブーとされてきたテーマには、最初の一歩を踏み出し、『性的なことに関心や欲求を持つことは普通のこと。自分を高めたいと思うのなら、それは強さの証』と言ってくれる強いリーダーが必要。私たちは、あえて言わないだけで、みな同じように感じているのです。そしてリーダーをきっかけに会話を始めれば、門は開かれ、性について話題にすることは普通になっていくでしょう。その結果、世界中でSMILE(笑顔)が溢れていくと確信しています。
セクシュアルウェルネスを通じて、SMILEが溢れる世界に!
なかなか聞けないブランドの苦悩や想い、裏側を知ることができ、とても愛のあるブランドだと再確認できました。WOMB LABOも、みなさんが最初の一歩を踏み出し、勇気を与えられるようなメディア、リーダーでありたいと強く思いました。後編では、そんなブランドの想いが反映された、愛のあるアイテムたちをご紹介します。お楽しみに。
WOMB LABO編集部