【第2回】女性のライフステージによるからだの変化について

森田敦子(以下、森田)では、今回は女性のライフステージとその変化と仕組みについてお話をさせてください。今回も東峯婦人クリニックの松峯寿美先生とお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

松峯寿美先生(以下、松峯)よろしくお願いします。

森田女性は年齢とともにホルモンの変化が起こって、それぞれのステージでいろんな変化が体に起こってきますよね。よくその中でも思春期。それから成熟期、そして更年期、更年期の後年期、そしてもう1つの後年期というのがあり、まあ老年期に向かっていくんですけれども、先生この辺の変化について少し教えてください。

松峯思春期というのは、だいたい 50 年前はですね、15歳ぐらいから男の子女の子両方に現れる体の変化なんです。思春期の1つのサインとして月経の始まるんですけれども、これ初経といいますけど、大体11歳、昔より4年ぐらい早くなっています。ホルモンが出始めた特徴として月経が始まる。おっぱいが大きくなる。なんか毛が生える。こんな3つの変化を女性にとっての思春期の大きな変化、ホルモンが出始めた証拠だと私たちは定義しています。

男の子の場合ももちろんあの思春期がありまして、男の子もやっぱり毛が生えるとか喉仏が出て声が太くなるとか、そして1番大事なことが女性が月経が始まる初経と同じように、射精の精通というのがあって、これがやっぱり男の子の思春期。

男性も女性もこのサインが始まることによって人間の本来の営みですね、妊娠なりはじめた体になり始めたというサインだけです。これを第2次成長といいます。男らしくとか女らしくて、まあらしくっていう言葉を使っちゃいけないとか言いますけれども、体は少なくともらしくなるんです。

森田そうですよね。先生、あの前回にね、お話しさせていただいた「フェムテック」、わたしたちの体の中に、もう本当にミラクルなテクノロジーが技術が備わっている。その初潮が始まることもそうだと思うんですけど、4年ぐらい早まってきてるんですね。

松峯そうなんです。ですから、栄養状態とかそれから環境とかね。昔はもう厳しい時代を過ぎてるから、あのこれだと子供産んでも育てられないから、あの月経、初潮が細かったんだと思うんですよね。

森田だけど、体が成熟して十分できるようになった時代ですので、月経が早くなったということで、それも不思議な現象だとは思ってます。

松峯それでそれがそのままあの思春期を通り過ぎて月経が最初は不順だった月経がだんだん順調になって、そしてここをだんだん通り過ぎて、先ほど言っていた次のステージの成熟期に入ってくるわけですね。ですから、この思春期をいかに上手に、太りたくないって言って、食事を減少したり、思いっきりスポーツをやりすぎてガリガリに痩せたり、そういうことをあまりして欲しくないなと、私たちは思ってます。

森田よく生理が止まってしまうということがね。

松峯そうなんです。生理が止まるということは、ホルモンがストップしてるという証拠です。ホルモンというのは出なければいけないものなんです。それがストップさせてしまったりしてしまうような環境ですね。これはなるべく避けたほうが、これから繋がる成熟期のために大事なものだと思いますよ。

森田そうですね。先生、よくみんなね。PMSや月経痛があって、ある時点まで行けば落ち着くっていう、落ち着いてようやくバランスをあの保つ時期が来るってよく言われるんですけど、延々と月経痛やPMSや不調ホルモンのバランスが起こるというのはどういう風に捉えたらいいのでしょうか?

松峯これはですね、思春期になって初めて出てきた女性ホルモンが体中を満ち満ちて巡りますね。そうすると色んなところがあの女性として発育して目覚めてくるわけですね。脳なら脳も初めて浴びる女性ホルモン、それから子宮も初めて浴びる女性ホルモン、こういうものにたいしてまあびっくりするというか、馴染んでいくまでの時間がかかる。そういう時間が大事だと思います。

もう 1 つは子宮に例えて言いますと、子宮には元々そのホルモンも何にもなければ何にもなかった子宮の筋肉に対して、ホルモンが出てくると子宮筋腫っていうのもできてきたりしますよね。子宮筋腫っていうのは何もなかったわけではなくて、芽があるんですね、種がまかれている、その遺伝的にまかれているものに対して女性ホルモンが出てきて、餌をやる種のところに、そして餌に対して、女性ホルモンという餌に対して、子宮筋腫の種が育ってきて大きくなって月経痛とか子宮内膜症っていう病気もありますけど、それもまたやっぱり子宮内膜症になりやすい組織ってね。それに対して女性ホルモンというもう1つの味が加わって、そして内膜症になって、いろんなことが起きるんですよ。

ですから、ある程度はあの月経というものに対して馴染む時期が思春期であり、今度その月経を使ってもう1つ、人間らしく生きていくための時期が成熟期というわけですね。

森田やっぱりその女性のライフスタイルのこのステージっていうのは本当に大きな変化が起こってくる、よく7や8の倍数って言われるぐらい起こってくるんですね。

松峯その通りですね。不思議ですね。成熟期というのは大体18歳から48歳ぐらいありますね。

森田長いですね。

松峯成熟期は長いですね。この長い期間に月経を毎月おこしながら、環境によっては妊娠出産を経験したりが、人によって子宮筋腫を経験したり、内膜症になったり、いろんなことをホルモンと同時にホルモン関連の病気とか出てくることもあります。

森田そうですね、なんか18歳から40代後半までっていうことは

松峯30年間ですね。

森田30年間。これってやっぱり年を取るってことは、やっぱり老化もしていくじゃないですか?そこにセックスがあって、妊娠出産があって、年をとっていくと、例えば肌の衰えや体の私たちの内側の衰えや、こういったものがあるから、より体のケアというか、手当をしっかりしてあげなければいけないということですね。

松峯その通りですね。さっき言ったように思春期に成熟期のための準備で、この成熟期にはこれから来たるべき、更年期、また高い後年期ですね、ハイの後年期のための準備っていうのをゆっくりゆっくり始めなければいけないんですけれども、成熟期に元気ハツラツで無理をしたりしますよね。その後にそのしわ寄せというか、まあ生きてる限りは加齢というのがありますかね。加齢と同時にそのホルモンも減ってくる時期が来ますので、その症状が肌はもちろん肌にもそういう症状が出てくるわけですね。

知っておけばこんなことにならなかったのに、知らなかったからこんな目にあって、じゃあこれどうしようっていうんじゃないと思います。これからの現代女性は既にしていて、知識を持って、そうしながら暮らしていくという、対処しながら暮らしていくというのは大事だと思います。

森田ってことは1歩前1歩前の予防。例えば腟回りのケアも含めて、骨盤底筋周り、そして筋肉を鍛えるということや、その骨のケア。こういったら全体のテクノロジーを知った上で、1 歩前の予防というかケアがすごく重要ですね。

松峯その通り。

森田もしそれがあれば、大きな問題には発展していかないのかしら?

松峯そう思いますよ。ですから、この新しく森田先生が言ってる「フェムテック」って言っている大きなタイトルですね。これは世の中のいろんな女性に、もう思春期から知っておいてもらいたいし、それから更年期、中高年の更年期の方たちも「いや遅くはないから」って言って、エンカレッジしてもらって、知識を広めていただきたい大きなテーマだと思いますよ。

森田本当ですね。前回の話もそうだけれども、例えば体のその仕組みを知らないとか。それから知識がないとか。反対にやっぱりきちっと自分の体と向き合って、大事な子宮内膜症とかいろんな病気になってしまうこともあるわけなので、まあ、マイ産婦人科の先生を、私はすぐ先生のところに行くんですけど、そういう持っていて、なんかつ家でもあのいろんなケアをしてあげるってことして、大事に及ばないようにするってことも大事ですよね。

あと、先生、この成熟期っていう中で、パートナーがこれからできて、そしてコミュニケーション、セックスも含めて、妊娠出産もこの時期にかかってきますよね。この一番大きな 変化の中で大事にする事っていうのはどんなことでしょう?

松峯そうですね。動物として私たち生きてるわけですから、動物として生きていて、動物っていうのは、オスとメスがある、性が違うものが同居しているわけですね。この性の違うものがうまくパートナーを見つけることによって、猿山のサルでもそうです、いろんな動物、ライオンでも猫でも犬でもそうだけど、子孫を残すという一つの本能的な働きがあるわけですね。その本能的な働きをしながらも結構大変なんですよ、出産はね。出産も大変だから、もうあんな思いをしたくない、子供作りたくない、なんて言っちゃ困るから、神様はセックスに対する快感っていうのを与えてくれたんじゃないかと私は思ってますけども、そのセックスっていう行動ですね。性行動というのがあるわけです。

しかもですよ、思春期から女性の外性器は性行動に対しても耐えられるような仕組みを作られてるんです。以前も申し上げましたが、尿と肛門の間に腟という素晴らしい場所が、そしてこれが素晴らしいフェムテックで出来上がってて、これを刺激することによってですね、それが誰からの刺激であっても、同じように感覚的に快感が得られるという素晴らしい仕組み存在するんですよ。

森田そうですよね。私もそのパリ13大学で勉強してきたのはフィトテラピー、薬草学だったはずなんですけど、その医学部の、先生にも会っていただいたあの婦人科の教授でもあるベランジェール・アルナール先生。

松峯素敵な先生ですね。

森田そうなんですよね。で、性科学=セクストロジーというものが、医学のど真ん中にあって、やはり食べるという「食欲」と眠るという「睡眠欲」、性科学、性欲がなぜわくのかっていうことは三位一体なんだと。だから、その性科学というものの中で、なぜ異性というか、あのセクシャリティというところのものがわくのか。そしてそれにおいて、女性の体の中にはクリトリスという陰核、こんな大きい臓器が存在するのか。

そして今のところ、それは快感を得る大事な働きをするで、卑猥なものでもアダルトと言われるような分野ではなくて、すごく大事な分やなんだっていう話をしてくれたんですけど、してくれたとかそういう講義があるんですけども、なかなか日本ではなくて、先生が40年くらい前に書いてくださっている、女性の体の仕組みの本の中に書いてあって、日本に存在してたんだ、こういう知識を1つの厚い本となって存在してた、なのに、これが日本で女性に伝わってなかった。あれは私も本当に驚きとちょっと喜びを感じたことだったんですけど。

松峯そうですね。やはり、最近この時代でもそうですけれども、女性の外性器は触ってはいけないとか見てはいけないとか、そういう風潮があることは確かです。それはあの従来の男性の社会で、女性というのは1つの財産として考えられてきた、女性をキープするのは自分の財産みたいに考えてた時代の名残で、女性を性に目覚めさせたりすることをさせないっていうような風潮があったからだと私は思うんですね。

文化的にね。歴史としてね。だけど、それが今はもうそんなことはおかしい、女性も男性も同じ権利を持ち、そして人間として生きていくのに同じであるという、女性は女性として自分の体を十分目覚めさせて、そして大切にしていく、こういう時代になってるので、決して触っちゃいけないような場所でもないし、醜い場所でもないし、鏡で見たって別に、自分の口の中を見るのとこっちを見るのと、たいして変わらないと私も思いますし。

森田そうですよね。反対にしっかり見て、あ、自分の体、腟の周りがこういう風になってるのかっていう、外性器をしっかり見て観察して、ちゃんと手当をできる、それが普通なんだっていうことに、これからなっていくと思うんですけれどもね。

松峯ただね。あのこう、私も書いた方にもそうなんですけど、こう図解して書いてあるものと、実際と多少違うことが多いんですよね。色素沈着もあるし、毛も生えてるしで、個人差が大きいから。

この間も 1人。私のところの患者さんで、あの更年期の年齢になって、私初めて鏡で見ましたって言って、息を飲むように驚いて。「驚きました」って言ってた方がいましたけれども、あの見慣れてくればね、別に驚くものでも何でもないし、私が言ったんですけど、そういう時代ですね。もうね。

森田そうですよね。あの、今回のテーマであるその女性のライフステージによって体や心も、変化していくと、まあよくみんな老化とか言うけれど、そうじゃなくて、やっぱり変化していく、だから、そこにどんな風にその知識を捉え、そしてフィムテック的に言うならば、そのテクノロジをしっかり理解し、どうケアするかっていうことで、次回はこの辺の女性の「セクソロジー」と言いますか、また新しいフェムテックの仕組みについてお話させていただけたらと思います。

松峯わかりました。楽しみにしています。

森田ありがとうございました。

プロフィール紹介

森田敦子

森田敦子(もりた あつこ)

日本における植物療法の第一人者。株式会社サンルイ・インターナッショナル代表。客室乗務員時代に植物療法に出会い劇的に改善後、渡仏。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を本格的に学び、帰国後、植物療法に基づいた知見を社会に提供するため、デリケートゾーン&パーツケアブランド「アンティーム オーガニック」の処方・開発や、「ルボア フィトテラピースクール」を主宰。2020年、女性の一生をサポートするためのトータルライフケアブランド「Waphyto」を立ち上げる。
私生活でも42歳で自然妊娠・出産。著書「潤うからだ」他多数。

松峯寿美

松峯寿美(まつみね ひさみ)先生

医師・医学博士。日本産婦人科学会専門医。東京・木場にある東峯婦人クリニック理事長。とくに不妊治療、思春期・更年期医療に力を注ぎ、女性専門外来の先駆けとなる。また、日本にまだ数少ない産前産後ケアセンター・東峯サライを開設。著書に「50歳からの婦人科」や「60歳からのセックスクリニック」等、様々なライフステージの女性たちの体の悩みに関する講演等でご活躍。

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